ルルーの後について行くと、村の中でも最も大きな家。おそらく、ここに村長がいるのだろう。
コンコン。
ルルーがドアを叩くと、中から白い髭を生やした老人が現れた。この男が村長なのだろう。
ルルーは彼の前に素早く跪いたため、エリカもすかさず跪く。
「はじめまして、バーナード様。星翔騎士団のルルーで御座います。以後、お見知り置きを。」
今までの男勝りな雰囲気とは裏腹に、騎士のような振る舞いを見せた。
それに対し、村長―バーナードは優しく微笑んで言った。
「入って下さい。話は中で。」
「失礼します。」
立ち上がり、一礼をすると、ルルーとエリカは老人の家に入った。
家の中は、片付いてはいるが、余計なものもなく、非常に簡素な雰囲気だった。
「そこに座って下さい。」
バーナードは、部屋の中央に置かれた丸いテーブルを指差した。その周りには、腰掛けのない丸い椅子がたくさん並んでおり、そのテーブルの上にはすでに冷め切っているお茶が置いてあった。
エリカたちは、お茶が置いてある席に、隣同士で座り、その向かえにバーナードが座った。
「それでは、本題に入りましょうか。」
白い髭を巧妙に撫でつつ、バーナードは目を細めて微笑んだ。
「ええ。それでは、今回の任務の内容ですが、雪崩…でしたね。」
「はい。ただ、その山には何か巨大な生物がいるそうで……。そいつが大きく鳴くと、雪崩が起きるんです。幸い、雪崩は村の前で止まるので被害はありませんが、村人たちは毎日のように怯えておりまして……。」
「あぁ、その声なら私たちも聞きました。幸い、雪崩が落ちるほどではなかったと思いますが、とても不気味なものでした。」
「あんなのを毎日聞かされていれば、村人たちの気がおかしくなってしまいます…。どうか、退治をお願いできないでしょうか?」
バーナードは、祈るような目でルルーを見た。
ルルーは困ったような笑みを浮かべつつも、「分かりました」と頷いた。
こうなることは大体予想出来ていただろう。そのため、ルルーは念の為、エリカに武器を持たせたのだ。
あくまで原因を調べるだけの任務だったが、この瞬間から、その原因を退治する任務へ変わった。
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