―――……
朝、今日はやけに気持ちよく起きれた気がする。
大きく伸びをすると、二段ベッドの上の階から、エミが顔を覗かせた。
「おはよー、エリカ。」
「あぁ、おはよう、エミ。」
「おはよう御座います! 王子!」
なぜか、ここでは聞こえるはずのない声が聞こえた。
ゆっくりとそちらを振り向けば、そこには、予想通り笑顔のクラムが立っていた。
「なに?この子。」
一番に口を開いたのは、キョトンとしてクラムを見るエミだった。
そんなエミに、クラムはニコニコしながら頭を下げた。
「遅いから起こしに来たメイドです! クラムと申します! ね、王子?」
「だから、私は女だと何度説明すれば…。」
「愛に性別は関係ありませんよ!」
得意げに胸を張って宣言するクラムに、エリカは頭痛を覚え、思わず大きな溜め息が出る。
それに対し、エミは意地悪そうに目を細めてニヤニヤしている。
「だ、そうよ。王子?」
「楽しんでるだろ、お前。」
エリカは本日二回目の溜め息を吐くと、さっさと騎士服に着替えた。
また、今日も仕事が始まる――。
end
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