雛奈の言葉に、普段温和であるローランドが、雛奈を一睨みする。
「雛奈、それは極秘。使うことは許されないよ。」
「いいの、いいの! 三人だけの秘密ってことでさ!」
特に何も考えていないで言っているであろう雛奈に対し、ローランドは厳しい目を向けていた。
「待て。話がよく見えないのだが…。」
そんな中、エリカだけが疑問の色を浮かべていた。二人の話についていけない。
「本物のシューラ? 私たちが今使っている武器、そして魔法こそがシューラじゃないのか?」
疑問が重なるエリカに、雛奈が言い放つ。
「それは違うぞエリカ。エリカは星翔騎士団に騙されてるんだ。エリカだけじゃない。他の騎士もみんな。他の騎士団からきたうちだから言えるのさ。」
そう言うと、雛奈はローランドを見る。
「ただ、オルホスなら知ってるよ。オルホスって、それ使えないとなれないはずだからね。」
「あの…、ローランド様…?」
不安げにローランドを見るエリカに、ローランドは無言で何かを考えていた。
しばらく沈黙が続いた後、やっとローランドが口を開いた。
「ま、いいか。」
「え?」
「まぁいいか。見せても。」
「えぇっと…極秘なのでは…?」
「そうなんだけど、仕方ないでしょー。ここまできたらさぁ。」
さっきまでの態度と一変して、ローランドはいつもの、のんびりとした雰囲気に戻っていた。
何度か欠伸をかみ殺すと、ローランドは言った。
「よし、やっていいよ、雛奈。」
「おっけー。」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
さっそく雛奈の武器であろう太刀を構えた瞬間、慌てたエリカがそれを止めた。
「ほ、本当にいいんでしょうか? 騎士団にとって極秘であるものを、私が見ても…。」
「だから、いいんだよ。もう面倒だし。
じゃ、オレは行くからね。ばいばーい。」
そう言い残すと、呑気に手を振りながら、ローランドは去っていってしまった。
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