「大丈夫ですか?」

 心配そうな声が降ってくる。こいつは…

「フラン……。」

 エリカを受け止めていたのは、エミのパートナーである、フラン・エイヴォリーだった。
 フランとは急いでいる時によく会う。なぜだ。

 とにかく、抱きかかえられている状況から脱するために、冷静を装いつつフランから離れた。

「すまない、大丈夫だ。…それより、お前は行かなくていいのか?」

 エリカの問に、フランはきょとん、と首を傾げた。頭上には"?"が浮かんでいる。

「どこにです?」
「ホールだ。今朝集まるように指令が来ていたはずだぞ。」


 そう答えれば、フランは目を見開き、「えぇ?!」と大袈裟に叫んだ。キョトンとしたり、慌て出したり、忙しい奴だ…。

「き、聞いてませんよ! 僕、ずっと研究室に籠もりっぱなしだったので…。」
「そういえば、前もエミが酒を飲んだ事を知らなかった……、というより、その現場にいなかったな。」
「はははっ…実はその時も…。」

 慌てたと思えば、次は照れ笑いを浮かべて、体を縮こませた。

 何の研究に没頭しているのか気になるが、今はそれどころではない。

「それより、早くしないと遅刻だぞ?」
「あぁっ! そうですね! 行きましょう!」

 今はとにかくホールへ行かなくては。
 エリカたちは、急いでホールにむかった。

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