―― 雪の村ラビーネ
最初は馬を走らせて来たが、途中からは雪が積もっており、馬を起き、徒歩でやってきた。
ほぼ一年中雪が降り積もる村と聞かされていたが、実際に見るのは初めてだ。
「本当に…すごい雪ですね…。」
エリカは圧倒されていた。
銀色に輝く粉が舞い散る、白い村。
ところどころから、三角形の屋根の雪が滑り落ちる音がする。しかし、どんなに落ちてもまた雪は積もる。この繰り返しだ。
「なるほど。この村の屋根は全て三角形なのは、雪を滑り落とさせるためなんですね。」
「そんなとこだな。」
ルルーは興味なさそうに欠伸をした。
―― 同じ国なのに、ちょっとした距離の違いでここまで気候が変わるのか…。
関心しながら、持ってきていたカメラでラビーネの風景を写した。
「んなことより、早く村長のとこ行こうぜ? 寒いったらありゃしねぇ…。」
ぶるぶると体を震わせ、ルルーはさっさと雪の中を歩いていった。
エリカもその後に続くため、一歩踏み出したその時――
ブオオォォォ……
ラビーネの周りに広がる雪山から、不気味な鳴き声が響いた。
まるで、こちらを挑発しているかのように、鳴り響いては消え、また鳴り響いては消える。
何度も、何度も―――
end
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