―― 夜、街中が綺麗にライトアップされている。
 玄関には、恐ろしい顔に彫られてたカボチャが飾ってあった。



「とりっくおあとりーと!」

 魔女の格好をした女の子が、エリカに向かってそう叫ぶ。

「あぁ…これでどうでしょうか?」

 まるで初めから用意されていたかのように、エリカがポケットから取り出したのは、可愛らしくラッピングされた袋だった。中にはクッキーが入っている。

「ありがとう騎士様!」

 女の子はクッキーを受け取ると、笑顔で去っていく。



「Happy Halloween.」



 その背中に向かって手を振りながら、エリカは呟いた。



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