「悪い、遅くなったな。」

 エリカが外に出ると、案の定、カボチャ頭はちょこんと地面に座って待っていてくれてた。
 エリカの姿を見ると、元気よく立ち上がり、また叫ぶ。

「さぁ! お菓子くれなちゃ悪戯だぞ!」
「あぁ、持って来たぞ。ほら。」

 そう言って、エリカはクラムから貰ったキャンディーをカボチャ頭に差し出した。
 カボチャ頭はそれを受け取り、じー…っとキャンディーを見つめたかと思うと、そのまま不気味に笑い出した。

「ふっふっふ…。これで悪戯は見逃すぞ…。ふふ…。」

 そしてキャンディーを手に持ったまま、カボチャ頭は走ってどこかへ行ってしまった。

「ハロウィンか…。」
「あ、悪戯見逃してもらったんですね?!」

 一人佇むエリカに、門からひょっこりと顔を出したクラムがそう問う。

「まぁな。」
「ふふふ…ハロウィンはですね、何かしらの仮装をしている子供に、"trick or treat"と言われたらお菓子をあげるんですよ!」

 「ふふん」と鼻を鳴らし、得意げなクラム。エリカに物事を教える事はとても新鮮である。

「ふーん…。一つ勉強になった。」
「今日の夜はパトロールがあるので、ちゃんとお菓子用意しといて下さいね!」

 そう言って微笑んだクラムは、可愛くラッピングされたクッキーがたくさん入っているカゴを、エリカに手渡した。




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