抱きしめるのは平気


▽「ずいぶん時間かかったな…」

日は暮れ、もう月が地面を照らす頃、請け負った仕事が予想以上に時間がかかってしまい、やっと帰ってきた。
敵の数が多く、所々浅い切り傷など受けた程度で、どうということはないのだが…。

ミラに怒られるか?と考えながらトボトボ歩いて家まで向かう。

結果マグノリア内ですら道に迷い、もっと遅くなったが仕方ない、いや迷ってない、道が勝手に動くのがいけないんだ。


▽家につきドアを開けてみると、それに気付いたのか
パタパタと小走りでこちらに向かってくる。

「お帰りなさい」

出迎えると同時に俺の体を強く抱きしめる。
心配させてしまったか…と、申し訳ない気持ち半分、急に抱き締められドキがムネムネ半分。
こちらも彼女の髪を軽く撫でる。


▽彼の体温を感じながら、顔を覗いてみると、少し落ち着かない様な表情でキョロキョロている。

「どうしたの?」と声をかけてみれば、

「ああ…ええっと、抱きしめるのには抵抗ないんだが…抱き締められると少し恥ずかしいな」

顔を逸らしボソッとそう呟く彼、抱き締められるのには慣れてないのよね?

「じゃあ抱きしめて?」



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