▼倒れている塑琉奈を素早く抱え込み、直ぐ様ミラの方までラクサスは走っていく。
「お母さん…!お母さん…!」
「ミラ、落ち着け」
涙をそのままに塑琉奈の顔を覗き込むミラ。
彼自身も沸々と熱情が込み上げているのを我慢しながらに、混乱している彼女を宥めるように、冷静な声を漏らすラクサス。
そして、ブランッと彼の腕の中で気を失っている塑琉奈を診てもらうために、ラクサスは走りながらに医務室へ向かう
▼「…くそ…」
ぎゅうっとまだ温かい塑琉奈の体温を腕に噛み締めながら、ラクサスは舌打ちを溢す。
なんでこう、お前はいつも無茶ばかりしやがるんだ
あの時も、お前は…勝手に一人で戦って……。無茶して、死にそうになってよ…
見てる俺の方が、心配で命が幾つあっても…足りやしねぇ…。
不意にアクロノギアの時、死を覚悟しながらにボロボロに戦っていた塑琉奈の姿が脳裏に掠める。
…あの時だって、コイツは、俺たちのために…死のうとしてた。お前が死んじまったら、皆泣くのを知ってるくせによ。
「…少しは、自分を大事にしろよ」
本当にてめぇは馬鹿野郎だ。
いくら家族のためだろうと、仲間のためだろうと、てめぇが倒れちゃどうしようもねぇだろ……!
走っていく中、ラクサスは未だに目を覚まさない塑琉奈の、血の垂れた額を拭ってやる。
そして、傷付いた塑琉奈の体を、抱き締めるかのように、ギュウッと自分の胸に押し当てた。
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