▼「(…なんだ…、この違和感は…?)」


その違和感、疑問は、ヤジマ、ラクサス以外にも、塑琉奈と今対峙をしているジュラの中にも落ちていた。

あの重い瓶も、眩しい鉄扇も出さぬ生身のまま。ひたすらに己の力のみで自分と闘う塑琉奈殿。


「(何か、作戦でもあるのか…?)」


振りかざす彼女の拳を何度か打ち落とし、張り手を胸に突きつける。すると塑琉奈殿は先ほどの動きのキレもなく、それを受け止めて顔をしかめる。

それでも、彼女の一つ一つの攻撃はとても重く、儂の体を着実と当てていく。


「は…、は…ぁ!」

「くう…!」


あの蛇の娘のサポートも未だなく、目の前の塑琉奈殿からは、魔力というものがさっぱり感じられん

まさか…先ほどのルーシィ殿のように…


「(外部からの攻撃を受けたのか…?)」


▼塑琉奈と戦いながらに、彼女から出る違和感の原因を脳裏に張り巡らす。

ドォンと彼女の攻撃に痛みを感じながらも、ジュラは先ほどのルーシィの戦いを思い出した。


「…なんという、ことだ」


そして、それを塑琉奈と照らし合わせて自らで理解したと同時に、ジュラの中で一気に憤怒という感情が溢れ出る。


二度ならず、三度までも…!
神聖な試合を愚弄しおって…!私と彼女の…真剣な戦いを…、許さぬ…!


そして次には、ビキビキと彼の首筋から頭まで、怒りというものが血管と駆け巡り、浮き出ていった。







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