▼ドォオオンッ、と大きな爆発音と岩たちがガラガラ、と落ちていき、飛び散っていき、周りに飛び散っていく。そして爆風と共に辺りを巻き上げた。


《激しい攻防戦の中、ジュラの覇王岩砕が直撃ーーーー!!!流石の塑琉奈ちゃんも予測出来なかったかーーー!?!?》

《何か…誰か叫んでなかったかい?》

《え…?》


目の前で突如放ったジュラの一撃。それを見てチャパティが興奮冷めきらずに叫ぶ。

ヤジマはその隣で「…あれ?」っと少し釈然としない様子で首を傾げた。


▼……何も聞こえない。

会場の声も、司会の声も、風の音も…、全部、全部、聞こえない。

視界は霞み掛かり、目に映る土も、その先にある壁も、空も、全部がぼやけていて。

そして冷たい土の感覚が直に肌に伝わるのに、ああ、俺は倒れたんだ…っとぼうっと理解する


ただ、聞こえるのは、自分の中でトクンッと小さく動き続ける心臓の鼓動。それだけが身体中で谺する


「ら、み…ぁ…?」


自分の隣、先ほど俺を抱き締めてくれた彼女の温もりと、姿が見えずに、

俺は霞む視界の中で姿を探せば、代わりにあったのは自分と同じように、地面に置かれたノート。


ビビ、ギギッと、まるで機械が故障したような線が走るノートのページ。そこには、所々文字化けのした【残り魔力:0%】と表示されていて。


ああ、そうか…俺、は……


同時に、ノートに表示された画面はザザ、と砂嵐。そして真っ暗になって画面は消えていった


魔力……、無くなったんだ…


▼《塑琉奈ちゃんダウンかーーー!?》

《いい試合だったのにぃ》


そして、倒れ込んでいる塑琉奈にチャパティは期待を交えながら声を荒げる。それに残念そうな声を交えながらジェニーが頬杖を付く。


「(手応え、あり…!)」


塑琉奈より少し遠くの場所、先程蛇に投げ飛ばされ、壁の瓦礫と共に姿を現したジュラ。

両手を添えて、覇王岩砕に巻き込まれて吹き飛ばされた塑琉奈を見据えて、彼は確信を持った。


そして、爆風と飛び散った岩の残骸の中心、ボロボロになった塑琉奈は倒れ込んでいて…


「むう…?」


先程の蛇の娘が、消えておる…。
巻き込んで諸とも技を掛けたか?
いや…だが手応えは、確か一人じゃったような。

それとも、危険を察知して何処かへ隠れたか…、塑琉奈殿ならやりかねんのう。






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