▼《塑琉奈ちゃんの渾身の一発が、ジュラにクリーンヒットォオーーーー!!!!》
《うわぁ…痛そう…!》
《いい誘導したねぇ、あの蛇の子》
塑琉奈の一撃にチャパティが吼える。そしてジェニーはあまりの痛そうな光景に言葉を漏らしつつ顔を歪ませた。
「(不覚…!)」
ぐわん、ぐわん、と顎を中心に脳が揺さぶられる程の衝撃が、ジュラの中で響き渡る。
気が…遠くなりそうじゃ…
その痛みと銅鑼のように響くビリビリとした波動に彼はギリッと歯を食い縛った。
「まだまだ!」
「させぬ!」
ジュラはダンッと先程の攻撃を足踏みして持ちこたえる。そしてギンッと塑琉奈に一点集中。
それが分かっていながら、塑琉奈は攻撃の手を緩めない。
すかさず懐に入り込めたのを機会に、顎に当てた右手を今度は前に突き出して腹に一発と、左手を頭目掛けてブンッ振りかぶる。
けれどもジュラはそれをパァンッと張り手で次々と跳ね返していく。
▼「ちっ!もう一発くらい、当てさせて、下さいよっ!ウラァア!」
「そう何度も、お主の攻撃を、受けとうないわ!ハァッ!」
パァンッと弾かれては、此方に向かってくる彼の張り手。その手首をガシッと掴んでからブンッとその腕を彼の胸から遠ざからせる。
そこにすかさず右足の蹴りが飛ぶも、今度はジュラがその足首を掴み、また放り投げようとした時だ。
「(そう何度も同じ手に引っ掛かるかよ!!!)」
フンッと鼻を鳴らし、塑琉奈は足首を掴まれたままに、直ぐ様地面へ上体を近付かせ、そのまま地面へミルクスタンプを奮う。
すると、ビキィッと地面のひび割れと共にジュラと塑琉奈の周りには、ズゥンッという強く、重い揺れが広がっていく。
その揺れによって一瞬緩んだジュラの力を塑琉奈は見逃さない。
「っ、らぁあ!うらぁああ!!!!」
「ぐっ!」
足首を掴んでいたジュラの手を振りほどき、そのままガシッとジュラの体に足を巻き付ける。そしてぐんっとジュラを勢いよく押し倒した。
そしてジュラを組み敷く形となった塑琉奈の猛攻のラッシュが降り注ぐ。
▼何度かそれを弾き返すも、それを押し返すにはあまりにも重いミルクスタンプ。そして塑琉奈の怪力。
それに先程までの攻撃までも弾いていた手、防御していた腕たちは重みに耐え兼ねてビリビリと痛みとなってジュラへ伝わっていった。
▼「好きには、させんぞ!!!」
その痛みに耐えながら、ジュラは塑琉奈の猛攻を避けつつに素早く印を結ぶ。すると、ぐるんっと直ぐに複数の石柱がうねりながら出現に塑琉奈に襲い掛かる。
「あぶね…!ラミア!!!」
「はいよー!」
真横から同時にやってくるそれに、塑琉奈は焦ってぐっと身を仰け反り、間一髪避けるも、次々やってくる石柱に仕方なくそのまま一回転。
そして、先程出した蛇の女の子に声を掛ければ、明るい声と共にその子が石柱に目を向けて舌なめずり。
途端、ジュラが出した石柱はみるみる内に巨大な蛇へと形を変える
▼《なんと!ジュラが出した石柱が、突如蛇へ変わった!!》
《おそらく、あの子の能力だねぇ》
その巨大な蛇たちが、今度は自分に襲ってくるのにジュラの口から「く…!」っとくぐもった声が漏れる。
そして立ち上がった瞬間、シャアッと一匹の蛇にガシッと体を噛まれてしまう。
▼離せ、という言葉は出ずに、その蛇に呑まれないと渾身の力を込めて蛇の顎を押し返すジュラ。
「そぉーれ!」
「むお…!?!?」
同時、ラミアの声と共に、ジュラに噛み付いた蛇はブンッと彼を勢いよく壁へ投げつければ、ドガァッとたちまち、壁の崩壊の音と瓦礫がガラガラ、と落ちていく音が辺りに響いた。
▼「ナイスー、ラミア…!」
「御安いご用よー!」
はあ、はあ、と漏れる息と共に一度、塑琉奈は額を拭う。ジュラとここまでの攻防戦。流石の彼女にも疲れが見えてきたのだろう。
その隣で意気揚々としているラミアに思わず笑みが溢れた。
「魔力も充分あるし、畳み掛けるぞ!」
時間も有限。もうここで決めるしかない。どいつを出せばいいか…、いや、悩んでる暇はねぇ!
▼引き続きサポート頼む、と塑琉奈がラミアに一声掛けてから、一度ミルクスタンプを消して次の絵描入門を唱えようとした
その瞬間だった
「塑琉奈!!!!危ない!!!」
「えっ、あ…!!?」
突然ラミアの声が塑琉奈の耳に、会場に、響き渡る。その瞬間顔を上げた時には、ぎゅうっという抱き締められた感覚が直ぐにやってきて。
それと共に、一気に自分の体に走る電撃のような痛みと、突然の焼失感。
同時に「覇王岩砕!!!」というジュラの声が、ラミアの声と重なるように、会場に響き、
塑琉奈の視界は、一気に真っ暗に染まっていった。
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