▼このまま彼の視界内で、ジュラに合わせて距離を取って戦うのは得策じゃない。

けどこの見られたまんまじゃ俺の攻撃も届かねぇし、お互い防戦一方だ。

軽くジュラの攻撃を見てみたが、石柱を出すにはタイムロスがあるが…容易には飛び込めない。

それが隙とは言えないし、わざと隙を作って誘い込むのかもしれねぇ…。何より補うために多分相当身体も鍛えてるんだろうな。

…けど、それは皆一緒だ。誰だって弱点は補うために鍛練するだろ。


「(取り敢えず、ジュラの懐入んないとな…)」


先ず接近戦に持ち込む。話はそれからだ。


▼すうっと一度深呼吸をして、ジュラを前に、両腕を突き出す。そしてピタリと、右手を上に、両手を合わせてから、また宙に浮いていたノートが光出す。

それを見ていた司会席からは、《おっと、次に何をする気だ!?》っと期待と緊張が混じった声が響く。


「絵描入門、光神姫」


すると、カッと眩い光と共に塑琉奈の手と手の間から二つの光に満ちた鉄扇が現れる。


「なにこれ、眩しい…!」

「おい六代目、頭照らすなよ!」

「照らしてないわ!!!誰がツルツルピカピカじゃコラァア!!!」


その、手中…いや、鉄扇から溢れ出る光があまりにも眩しくて、周りが目を細めるほど。

その眩しさは勿論会場の一角にいるギルドの面々にも差し掛かっていて。リサーナやレビィ、マカオたちが腕でその光を塞ぐ。

そして、マカオの言葉にマカロフは過剰に反応して声を荒げた。


▼《眩しい!あまりの眩しさに目が当てられません!》

《これじゃあ何が起きてるかわからないよ》

《日焼けしちゃうー!》


その眩しくて目が眩むような光。皆が目を細め、瞼を閉じるほどの光。その眩しさに眉を潜めたのは、ジュラも例外ではなかった。


「ぐぬぅ…!?何をする気だ…!」


そんな中で一人、目を細めることも、瞼を閉じることもせず、はっきりとジュラを見据える、光神姫の持ち主の塑琉奈。そんな彼女の口からこう唱えられる


「黎曲第一節、黎明破」


その瞬間だった。カッと更に強い光が溢れ出したと同時に、ギュオオッと大きな衝撃音と共に、手中の鉄扇から巨大な光線がジュラ目掛けて放たれる。


「ジュラさん!!!!!!」


眩しさの中、ハッと我に返ってジュラを見やれば、彼の体が光に呑まれていく。

リオンはそれを目の当たりにして声を張り上げたと同時に、ドォオオンッと周りを響かせる重低音と一気に会場には砂ぼこりが立ち込めていった。








back

×