▼ルーシィとフレアの戦いが終わり、次から次へと試合が開始されていく。途中で“剣咬の虎”オルガの黒雷を目にして、ピクリっと眉を潜めるラクサス。
「良かったなラクサス、ゴリラ仲間が増えて」
「誰がゴリラだ、それに仲間じゃねぇ」
それに気付いてニマニマと彼の顔を覗いてからかってやれば、心底嫌そうに今度はその眉を潜めた。
▼そして、その試合をもちゃんと目に焼き付けながら、そろそろ自分達の番がやってくる。
《さあ!いよいよ一日目最後の試合となりますが》
《残すところ、妖精の尻尾Bチームと蛇姫の鱗だね》
《昔は、この2つのギルド実力が均衡してたから面白い試合になりそうね。》
▼さあ、選手発表です。っと言ってから一度、口を閉ざし溜める。そして会場もそれに合わせてシーンっと静まる。
「誰かしらね」
「さあな」
「ギヒヒ俺だったらメタメタにしてきてやるぜ」
「ラクサスラクサスラクサスラクサスラクサスラクサスラクサスラクサスラクサスラクサスラクサス」
「…おいうるせぇぞ塑琉奈、呪文みたいに唱えんじゃねぇ」
その間、楽しそうなミラが笑いながら聞いてくるのに、ガジルはパァンッと拳を手のひらに打ち付け準備万端。
当の塑琉奈は随分と真剣な顔でひたすらラクサスを唱えるのに、代わりに彼からのチョップが飛んだ。
それと同時だった、チャパティがマイク越しに声を張り上げたのは。
《妖精の尻尾B、塑琉奈・流氷…vs、蛇姫の鱗、ジュラ・ネェキス!!!》
「はっ…?へ………?????」
▼キター!ジュラだー!っとチャパティの言葉を聞いて、一気に会場が声を張り上げ、ワァアア!っと熱気に包まれる。余程の強さで、人気を積み上げてきたのが、それだけで分かる。
《妖精の尻尾内では、『妖精の母』として、必ずギルドにいた古株従業員…従業員?!》
《彼女にはよくお世話になったねぇ…元気で何より》
しかし、良いのでしょうか?っと紙に書いてある塑琉奈の説明文に、チャパティは眉をハの字にしてヤジマさんを見やる。
《まあ此処に出た以上は魔導士ってことでいいんじゃないかね》
《初めて見る子ねー、ジュラ相手に大丈夫かしら?》
その司会の不安を余所に淡々と答えるヤジマ、そして初めて聞いた塑琉奈の名前に、ジェニーも心配そうに苦笑いを溢した。
はあ…っと二人の様子に生返事を溢しながら、対してのジュラの紹介へ移る。
そうして会場からは「従業員かよー!」「あははウケるー!」「妖精の尻尾は人材不足かよー」っという煽りが飛び交う。
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