▼競技が開始してから、グレイの防戦一方を目にする。そしてジュビアの口からローカルルールが発覚し、グレイは慌ててじっちゃんに言い寄る勢いでラクリマビジョンで叫ぶ。
その後だ、街の中で雪が降ってきたのは。
▼そして、遂にルーファスが動き出す。
地味すぎると一言言った彼から出てきた、光の雨。それが追尾するように各選手の所へ降り注ぐ。当の唱えたルーファスの場所は建物の天辺で動かないままなのに。
そして、それを目にして、少し口を開けて驚いてるミラとガジルを尻目、ボスッと自分の頭に手を乗せた
「(ジュビア…大丈夫かな…)」
内に漏れた言葉は、ラクリマビジョンの先で頑張っているジュビアに対しての心配だった。
▼「おかえりなさいジュビア」
「はい……」
競技が終わり、トボトボと力の無い足取りでジュビアが此方に戻ってくる。
結果はレイヴンのあの男に殆どポイントを奪われ、邪魔をされてたったの一点。
そして競技が終わったと同時に会場からの謂れの無い罵声を浴びせられ、ジュビアの顔は行く前とは全く違う…憂いを帯びた顔だった。
流石のガジルとラクサスもそれを察知したのか、気にしてない、という素振りでジュビアを迎える。
▼「お疲れ様、ジュビア」
「ごめんなさい…私…」
「何も言わないでいいよ」
俯いて顔を上げない彼女に歩み寄り、ポンポンっとジュビアを肩を叩く。その肩は小刻みに震えていて。
何度も何度も、大丈夫だよ、と言い聞かせる。
「少しあっちで休んでな。善くなったらお顔出してね」
「…は、い…」
ジュビアから醸し出している申し訳ないという感情。それを身に感じつつも「(気にしないでいいんだよ)」っと内に漏らしながら、俺は彼女を誘導させる。
「お、かあさ…ごめん、なさ…」
「謝んな。ジュビアはなーんも悪くねーよ!」
うっ、と小さな嗚咽を漏らし、俯いた彼女の頬からは一筋の涙が。それを見てないフリをして、ほら、行っておいで、っと彼女の背を押してやる。
そしてまたトボトボと控え室まで歩いていくジュビア。
その背を俺を始めに、ラクサス、ガジル、ミラが静かに見送った。
▼「(きっと…グレイも悔しかったに違いない…)」
ジュビアと同じように、家族のために…必死に戦っただけなのに、周りからは罵声と腹の立つ言葉の羅列。
確かに結局は結果ではある。けれども、だからと言ってここまで罵る必要はあるのか…?
七年後の皆は…これを浴びせられてきたのか……?
「(ああー、ダメだ落ち着こう)」
またあの時と同じだ。寝ているウェンディとシャルルを目の当たりにして、じわりじわり、ジクジク、熱くてドロリとした憤怒の感情が溢れ出る。
それをまた抑えようと胸を押したと同時に、バトルパート、ルーシィVSフレア、という単語が会場に響き渡った。
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