▼「(ほう…、アイツが塑琉奈をナンパした奴だったのか…)
ジイーッとスティングが背を向けて歩いていくのを、ラクサスは食いるよう、その彼の背中を一点に見つめる。
その目は、まだ戦う訳でもないのに鋭く、殺意に満ちた眼孔で。
「ラクサスーどしたー?」
「競技始まるわよ?」
そうして、全チームが揃い、オープニングゲームが始まる頃。塑琉奈とミラに声を掛けられて、ラクサスは一度瞬きをして、目付きを元に戻す。
そして「チッ」っと舌打ちを溢してから、仕方なく上着を翻した。
▼一通り司会から説明を受けて、さあオープニングゲーム“隠密”(ヒドゥン)の開始。
次々と各チームから一人が選抜されて行くのを見ながら、Bチームも選抜決め。
「さてどーする?」
「よし俺が出る!」
「ガジルには無理だろ」
塑琉奈がフゥーっと一息吐き、目の前にある岩に書かれたメニューを見やる。
そしてガジルが出たがっているが、ゲームメインは“隠密”。その言葉にラクサスが彼を一言で一掃。
「やんなきゃわかんねーだろ!」っとガジルがギャーギャーと騒ぐ傍ら、「“隠密”だものね」っとミラが納得したように笑う。
「どうやら向こうはグレイが出るみたいだよ」
「はっ!?グレイ様が出る!?」
そうして、Aチームの方を見て声を上げた塑琉奈。その「グレイ」という言葉にキュピーンッとジュビアの目が光った。
▼「はい!ジュビアが出ます!!!」
「あら」
「その心は?」
「グレイ様が出るから!!!」
すかさずシュバッと勢い良く手を上げて、立候補をするジュビア。予想していたことに、塑琉奈とミラは「だろうなー」っとにっこり笑顔。
逆にガジルとラクサスからは呆れたようなため息が漏れた。
「オイ!わざと負けたらただじゃおかねーぞ」
「はぁ…、何でもいいからサッサと行ってこい。」
「はーい!!!!!!」
▼そうして、“隠密”開始。
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