▼「塑琉奈…さん?」


彼女の声が発せられ、シンッと周りが静寂に包まれる。

ナツさんの次は…塑琉奈さんかよ…、次々と…どうなってんだ妖精の尻尾ってやつは…。

まさかこのまま、アイツも戦うってんじゃねぇだろうな?


ポツリと塑琉奈の名を呼び、スティングは喉を鳴らす。


▼塑琉奈はその中で、ミネルバとジエンマに視線を外さないまま、握って制止させたナツの拳を、ゆっくりと解いた。


「母ちゃん、なんで此処に…」

「………。」


もしかして、自分と同じようにユキノに話を聞いたのか?、自分と同じように、仕打ちが許せなくて殴り込みにきたのか?

目の前にいる塑琉奈。彼女の来た理由が分からずナツは、疑問に彼女を見つめる

それでも、彼女は前を見据えたまま。


「…こんな夜にうちの子が大変迷惑を掛けてしまいました。申し訳ない。この非礼、許してくれませんか」


けれども、その静寂を破って出てきた塑琉奈の言葉は、誰もが予想してなかった“謝罪”の言葉だった。






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