▼ドォンッと建物から爆発と共に大きな音が空に漏れる。それは天井に開けられた穴にゆっくりと煙となって空に伸びていった。
バチバチ、と未だに建物内からは放電したままの電撃の残りが、瓦礫に爪痕を落とす。
▼立ち込める土煙と徐々にフェードアウトしていく衝撃音の中心、一同が眩しさと土煙で顔を覆った腕を離した。
するとそこには、ジエンマとナツの間に悠々と立っていたミネルバの姿が。
「ミネルバ?!」
「御嬢…!」
くすりと笑い、双方の手から放たれた虹色の球体を出現した彼女の姿に、ジエンマとスティングが口を開く
ミネルバは、そのまま球体を消してからナツを見つめ静かに言葉を紡がせた。
▼「今宵の宴も、ここら辺で終いにしないか?」
「ア?」
攻撃を消滅されたこと、それを気にせずにナツが次にミネルバを睨む。それに、このまま続けても父上が勝ったであろうが、と微動だにしない余裕の口振りで、彼女は瞬きをする
そのミネルバの言葉を聞いた瞬間、気に食わないと言わんばかりに、ピリッと周りに電気が走らせ、ナツは眉間にシワを寄せた。
「んなもん、やってみなきゃわかんねぇだろが!!!」
そして、また拳に、体に電撃と炎をゴウゴウとちらつかせ、ナツが怒号を響かせる。
納得いかねぇ、と言うように、そのままナツはミネルバに向かって拳を振り上げた。
「ほう…、向かってくるか」
「御嬢!」っと周りがナツの行動に驚きを隠せずにミネルバを呼ぶ。それでも、ミネルバの表情は変わらずの笑み。
そしてその彼女の前にナツの雷と炎を纏った拳がやってくる。ぐあっと勢いを付けたそれを見据える。
けれども、その拳はミネルバに放たれることはなかった。
▼雷と炎を纏った拳は、ミネルバを前、何処かから伸びたか知らぬ手が、ガシッとそれを受け止めた。
その手はギリギリと力を込めて、ナツの力を牽制させていて。
誰だ、と反射的に次に視線がその先に集中される。力を込められて、少し痛みを覚えたナツも同じように手の先を辿っていく。
「やめろ、ナツ」
それよりも先、緊迫に満ちたその空間の中、ひどく落ち着いた声が辺りにこだました。
「母、ちゃん…?」
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