▼「メルディはもう寝ちゃったか?」
「ええ。今頃夢の中よ」
今度はウルティアを隣に、街並みを歩いていく。街灯が道を照らすも、時間が経ってるのかもう随分と街も静かで。
緩やかに川が流れる道沿い。その近くにある色とりどりの花たちを植えられた大きな花壇、そこに二人腰を下ろした。
そして、大魔闘演武のことに「ずっと見ていてくれたんだな」っと塑琉奈が笑い掛ける。するとウルティアは「それが今回の任務だもの」っと言いながら小さく照れた。
▼「で、収穫はどうだ?何かあった?」
「これといってハッキリしたものはないわね」
大魔闘演武開催時、毎年感じられたゼレフに近い謎の魔力。その正体を突き止めるため、魔女の罪はクロッカスに身を潜めながら探していた。
前に訪問してきた際にジェラールがマカロフに言った頼み。それはその内容によるもの。
そして大魔闘演武開催中、出場者として、応援者としてFTの面々たちもそれを頭の片隅に置き、理解していた。それは塑琉奈も例外ではない。
▼「ジェラールったらね、まだ二日目なのに張り切っちゃって…。もうミストガンの姿で遊んでるみたいに見えてね」
「そんなにミストガンの姿気に入ったかー!可愛いとこあるじゃないか!」
「まあ人前で堂々と探索できるしね」
全く、と困った笑いを浮かべながら足を組むウルティア。その膝の上に肘を乗せて頬杖を付く状態。その姿に、あははっと塑琉奈は笑いかける。
「そのジェラール、今はどうしてんだ。メルディと一緒に寝ちゃった?」
「なわけないじゃない」
きっと今頃エルザのとこよ、と塑琉奈の笑みに答えるように含み笑いを向けた彼女に、ああ、成る程!っと納得した。
どうりでさっきからエルザが酒場にいないと思ったら…そういうことか。
「若いって良いねぇ…」
「塑琉奈その台詞、おばさんが言う台詞よ」
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