▼その瞬間だった、プシュウウッと吹き掛けた音と、白い煙が俺の横を通り過ぎる。

同時にチャプンッという水音が聞こえて、我に返れば、目の前でラクサスが「ぐもぉおお!!!」という悲鳴を上げ、白い煙に包まれていく


「俺は…何をして…?」


そして、みるみる内に一夜だった顔が元に戻り、いつも通りの、憎いけど愛しい…ラクサスの顔になっていった


▼「間に合ってよかった!!母ちゃん大丈夫か?!」

「ナツぅうう…最高にファインプレー…」


そして、ヌッと俺の隣でナツが此方に顔を覗かせるのに、ヘナヘナヘナーっと一気に緊張が解かれて、腰を抜かす。

どうやら…時間稼ぎ…出来たみたいだ…。


▼力なくその場ではぁーっとため息を漏らし、肩を落とす俺。そんな俺に、元に戻ったラクサスが直ぐ様に駆け寄ってくる


「大丈夫か塑琉奈?!」

「大丈夫じゃねぇーよ!!!誰たちのせいだと思ってんだ?!こっちはもうクタクタだよ!!!」

「な、なんで怒ってんだよ…」


心配そうに顔を覗き込むラクサス。どうやら、あれほど俺に向かって殴ってきたのをすっかり覚えてないらしい。

くそっ!あんだけの攻撃しといて全く覚えてないとか…くっっっそ!!!くっっっそ!!!クソゴリラ!!


▼あまりにも悔しくて、困惑してるラクサスにムキーッと敵意むき出しにしてれば、

同時に、べちゃっと何かが落ちる音と、ガラガラ、先ほどまでずっと壁となっていたトライデントたちが崩れ落ちる。

それと共にナツさん!塑琉奈さん!っとウェンディたちが駆け寄ってきた


「良かった!無事だったみたいね!」

「こっちも、マグノリアの人たちを皆戻したわ!」

「これもミントのおかげね」


俺とラクサス、そしてナツの様子を見て、ハッピーとルーシィ、シャルルが声を掛け、皆胸を撫で下ろす。


▼「ん…?んん…?」


そして皆の足元、何者かが間抜けな声を上げてふらふらっと起き上がる

そう、先ほどのべちゃっと何かが落ちる音。それはミントに食われて吐き出された、元通りになったナナシだった。


「わぁあ!!ナナシ!!!」

「ナナシー!!戻ったか!」

「ん?んん?何が何だが?」

「お前も覚えてねぇか…」


体もボロボロのまま、起き上がり、キョトン首を傾げるナナシ。そんな彼の姿を見て、ルーシィとナツが喜びのあまり彼に抱き付いた。

それを受け止めつつも、ナナシは訳が分からんと頭上に?を浮かべるのに、ラクサスがはあ…とため息付いた。


▼ナツとルーシィを受け止めつつ、塑琉奈がボロボロな姿になって一息付いているのを見て、ナナシは驚愕する


「ど、どうしたんだ母さん…!!!ボロボロじゃないか…!」

「お前に斬られたんだよぉおお!!!!ナナシーーー!!!」

「ななな、なんだってーーー!?!?!」


▼そうして、やっと1日の悪夢。マグノリアに蔓延した一夜ウィルスは…

ナツの働きと、ミントの活躍。

諦めず、決死に動いたルーシィ、ウェンディ、ハッピー、シャルル…そして塑琉奈のお陰で根絶に成功したのだった…



Happyend…?





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