▼痛みのあまりふらついた体。それたち直すように、塑琉奈は内から叫ぶ。

それに合わせてダァンッと力強く足を地面に踏み鳴らし、ぐらりと揺れる体もそのままに持ちこたえる。

そして近付いてきたラクサスの懐に飛び込み、二つの鉄扇を重ね合わせてこう叫んだ


「黎曲第一節!!!黎明破!!!!」


瞬間、キュインッと鉄扇から巨大な光線が、至近距離、ラクサスの目の前に放たれる

そのあまりの光と凄まじさ、そして大きな魔力に「め、メェエエン!!!!」とラクサスは為すすべなく、それを食らってしまう


▼「はぁ…、はぁ…、はぁ…」


これなら…もう…!!!

目の前で苦しそうに光に飲まれるラクサス。それを見て、悔しそうに顔を歪ませる塑琉奈


ごめん、ラクサス…!!


そして何度も何度も、内に彼に謝罪を述べてから、彼の姿を逃さないとちゃんと目に焼き付ける。


「もう俺の魔力も…限界だ…」


ちらりと宙に浮いているノートを見やれば、自分の魔力残量が数えるほどしか残ってなくて、思わず塑琉奈はハハッと笑う。

そして、後はナツとミントが…っと口にした時。何者かに、ガシッと肩を掴まれた。

なんだ、と反射的にそちらに顔を見やる。するとそこには、先程突っ伏していた筈のナナシがいて…


▼「痛いじゃないか母さん…メェーン…」

「ま、マジかよ…」


同時に、ドォンッと黎明破を受けていたラクサスが、塑琉奈に飛び掛かる


「塑琉奈ァアアア!!!!」


ああ……、もう…だめだ……


魔力はほぼ使いきって、光神姫はボロボロ…。そりゃ、最低限しか注いでなかったから刃こぼれ、早いもんな…。

それよりも、それを最後まで使える体力は、ラクサスとナナシのせいで全部削がれて……


後ろはナナシに捕まえられ、目の前、雄叫びを上げながら自分に殴り掛かるラクサス。

塑琉奈はそれを目に、力なく笑った。






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