▼ブォンッとその電撃の槍を直ぐに飲み込み、水天魔鏡から逆にラクサスの方まで目掛けて放出されるそれ。

ラクサスは「クンクン…」っと、それを見つめたまま、ただどしんっと腕を組んでその場を動かずに、眩いほとばしる電撃の槍と一緒に飲まれていく


「ラクサス…!悪い…!」


あまりにも突然で、咄嗟に水天魔鏡で対処してしまったのを、塑琉奈はくっ…と悔やむ。

そもそも雷竜方天戟打つお前が悪い!!街壊す気かよこのイケメンゴリラ…!!!


▼「けどこれで…」

内ではラクサスに申し訳ないと、謝罪を溢しながら、口には安堵が漏れる。

何故なら、普段よりも冷静で尚且つ非情に此方に牙を向けるラクサスとナナシ。

その二人をずっと相手出来るほど、今、塑琉奈の体力と魔力は持ち合わせてない。

ミントに殆どの魔力を回した状態で、最小限の魔力と生身で挑むは、塑琉奈には骨が折れるのだ。


▼「後は…ミントとナツを…」


やっと終わった…、そう呟きながら雷に飲まれていくラクサスを見やる。

けれども、彼の方から雄叫びも叫びも聞こえずに、塑琉奈を首を傾げた。そして雷がほとばしる中で、彼の姿が目に映った瞬間だった。


「…姫檜、扇…」


塑琉奈の後ろ、その足元で地面に突っ伏したナナシが、ポツリとそう呟いたと同時に、塑琉奈の足元にブォンッと大きな赤い魔方陣が浮かび上がる


「しまっ…!」


地面から発せられた赤い光と魔力。それに気付いて、その場から飛んで逃げようとしたのも束の間、

塑琉奈の動作よりも先、ナナシが発動させた魔法…赤い蔦がビシッビシッと塑琉奈の体を絞めるように絡み付いた

そして地面から、魔方陣ほどの大きさの綺麗な深紅の花が、パァッと咲き乱れる。


▼「うんぎぃいい…!!!!」


何とか力を込めて、自分に絡み付いた蔦たちを鉄扇を使い、幾度か引きちぎるも、バクンッと深紅の花は塑琉奈を飲み込んだ

瞬間、キュインッと花が光り始め、一瞬にしてドォオンッと大きな音と共に爆発が炸裂する







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