▼二人の姿を確認して、流石のナツはたらり、と額から冷や汗を流し、苦笑いを溢す。

曲がりなりにも自分よりも強いラクサスとナナシが一夜化して、互いの魔力を醸し出しながら自分に対し、臨戦態勢。

その魔力たちを直に肌で感じ取り、ナツの気持ちに一気に焦りと、緊張が体を駆け巡る。


「ナツ!!!メェーン!!!」


瞬間、直ぐに間合いを詰められ、至近距離にはラクサスがいて。ブンッと彼の屈強な拳がナツに向かって振り上げられる


「よりによってこんな時にタッグかよ…!」

「ブラッドメイク、椿、メェーン!!!」

「う、あ…!」


それを仰け反る形で間一髪避けるナツの後ろ、素早く造形を作り、刀を手にしたナナシが、その刀の柄をナツの仰け反った無防備な腰に叩き付ける

それは見事に当たり、前に押し出されるようにナツはガバッと口を開き、ゴロンゴロンと前に転がっていく


「い、てぇ…!」


▼こんな時に限ってラクサスとナナシ二人かよ…!洒落になんねぇ…!


ナナシに叩き付けられた腰が、ジンジンと、痣のような強烈な痛みと変わり、身体中に広がっていく。それは更に、ナツの焦りを駆り立てられた

はっ、はっ、とナツの呼吸が荒くなる。それでもお構い無しと、二人から発せられる魔力の大きさに、冷や汗が一気に吹き出ていく。


「(…くそ、あと少しなのに…二人を相手に逃げられねぇ…!)」

その間にも、先ほどまで避けていった一夜化した人々が、着実と此方まで歩幅を縮めていた






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