▼「凄い!避けてる!」

「アイツラの動きが鈍いのが幸いね!」


その様子を、開いた状態ミントの口の先で見ながら、ウェンディとシャルルがナツの動きに、パアッと顔を明るくする。


「けど、何処へ向かってるのかしら…」

「塑琉奈、あの先って…」


ナツの向かう先、それに疑問を浮かべるルーシィと、不安そうにナツを見ながら塑琉奈に問い掛けるハッピー。

それに塑琉奈は直ぐ様ナツの向かう、その先を見やる


「…マジかよ!」


その先の場所。彼の向かうそのゴール。それを理解したのと、その場所の周りには雷が何度も落ちては轟いていて…。

それと共にいる筈がない何かがいる。それを目に映した瞬間、塑琉奈は顔を引き釣らせた


▼「ミント!ルーシィたちと一緒に一夜化した人たちを頼む!どんどん食べろ!」

「わかったー、やったー!いっぱい食べれるー!」


それが分かったと同時、塑琉奈がミントに向かって指示を仰ぐ。そして、立ち上がって街を見下ろす塑琉奈。


「えっ、なに?なんなのさー塑琉奈ー!」

「どうしたのお母さん?」

「あ、危ないですよ?」


塑琉奈の強ばった、緊張した顔を見やり、ハッピー、ルーシィを始めに皆、彼女の顔を覗き込む。


けれどその瞬間だった。


「後は頼んだぞ!お前ら!!」


塑琉奈はそのまま、ダンッと力強く踏み込んで、勢いよく、ナツと同じように、ゴゴゴッと風を纏いながらに地上へ向かって落ちていった


▼匂いを嗅ぐ暇も与えず横を通り過ぎ、囲まれるよりも先にナツは住宅の壁をつたい、駆けていく。

着地する場所に一夜化した人々がいても、彼はその一人一人の顔を足場に。それでも、向かう場所、ギルドの方角まで真っ直ぐ見つめてて。


「後ちょっとだ…!」


もう少し先、もう見えている目的地。自分のギルド、フェアリーテイル。

その目的地には、誰かが発生させただろう、バリッというような大きな電撃の音と辺りに無作為に墜ちていく雷たち。

それを確認してから、ナツは一度深呼吸。


▼「う…っぐあ!?」


そして、意を決して力強くギルドへ走り出す。が、突然何かに力強く足首を掴まれて、ナツはその場で地面にビタンッと倒れ込んだ。

なんだっと彼が顔を上げて確認する間もなく、グイッとその何かに凄い勢いで引っ張られ、ナツの体は宙に浮く


「ぐう…ッ?!」


そのまま、彼の体はバゴンッと何かに掴まれたままに住宅の壁に叩き付けられた。

崩れる瓦礫、飛び交う破片。その中にナツの姿、それと共に大きな穴が、壁に出来上がる。






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