▼「くそ…!」


せっかくの安全地帯だったのに…なにやらかしてくれんだこの魚は!

ったく!誰の魔法だよ…、って俺の魔法だよ…。くそー!だからって自由過ぎんだろ!

入り口は案の定、目の前のガジルとリリーが立ち塞がってる。追い出そうにも此処はミントの口の中…、ミントに負担かけちまう…!

どうする?空間を大きくして貰うか…?いや、一旦解いてもう一回出した方が得策か…!


「ナツ!ルーシィを抱えろ!、ハッピーはその二人を飛ばしてくれ!シャルルもウェンディを頼む!」

「えっ、もしかして塑琉奈…」

「塑琉奈さんはどうするんですか!?」


バッと皆を押し退け、俺は直ぐ様近付いてくるガジルとリリーの前に立ちはだかる。そして俺の言葉に、ナツやウェンディを始め、周りから困惑した声が背中に掛かる。

悪い…!迷ってる暇はねぇんだ…!


「言う通りに…っ、…え?」


そんな子供たちの声を振り払い、意を決して声を張り上げる。パァッと宙に浮かせたノートを光らせ、魔力を直ぐに収めようと掛かる。

…けどそれは不発に終わった。

何故なら、ナツやルーシィ、ウェンディたちの、塑琉奈の目の前。ガジルとリリーが倒れ込んだのだ。


▼「わぁい!やっぱり美味しかった!」


僕の目に狂いは無かったー!っと嬉しそうに両手を頬に添えて、ゴクンッと喉を鳴らすミント。

そんな彼の緊張感のない声と、目の前のガジルとリリーが倒れた事実に、皆はポカンッと間抜けな顔をする。


「えっ、えっ、えっ、なな、なに?何したのミント?」

「匂いを飲んだのー」


予想外過ぎて、塑琉奈から訳判らないと言わんばかりに何度も何度もミントを二度見する。

そして彼の答えに「匂いって飲めるものなの…?」っとルーシィの素朴な疑問。


「お、おい!見てみろ!顔が…!」

「あっ!元に戻ってる!!!」


そんな中、恐る恐るガジルとリリーを確認しに、二人の顔を覗き込むナツとハッピー。

けれどそこには、一夜の顔ではない、いつも通りの憎たらしい悪友の顔が瞼を落としていて…。その隣で眠っているリリーも元に戻っていた。


「はぁーーー…ミントお前さぁ…早く言ってよ…」

「えへへごめんねー!」


元に戻ったガジルとリリーを目の前、ナツたちに釣られるようにルーシィたちが彼らの元に駆け寄る。

そんな中、「(まさかこれで治るなんてな…)」っと塑琉奈は一気に緊張をほぐし、ふうっと息を吐いた






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