▼一夜化していくウィルスがどんどんとマグノリアを侵食していき、

もう街は一夜の顔をした人々が、ああ…ああ…とおぼついたゆっくりした足取りで街を徘徊する


「う…っ、みんな…」


そんな者が徘徊する街中。

ウェンディとジュビアとははぐれてしまい、未だに兎の着ぐるみの格好のルーシィ。

彼女は息を潜めて、バレないように姿を極力見られないように物陰に隠れていた。


▼「(どうしよう…このままじゃ…)」


ルーシィがベンチに座るアルザックとビスカ、そしてアスカちゃんまでもが一夜化してたのを目の当たりにして、

あまりの驚愕と恐怖に目はかっ開き、漏れる悲鳴を出さぬように口を押さえてから、代わりにガクガクと小刻みに体が震えた。

そして彼女の脳裏に浮かぶのは…最悪の事態


「(マグノリアがこんなんじゃ…、きっと塑琉奈さ…っ、お母さんだって…)」


バッと一気に再生される、今日自分たちを見送ってくれた妖精の母の姿。

「気を付けてね」何かあったら直ぐ駆け付けるからな?っと優しく、そして誰よりも男前で頼りになる塑琉奈の笑顔。


「お母さん…!」


それを思いだし、またルーシィはううっ…と嗚咽を堪えながら、ぱたぱたっと涙を溢した


▼そんな中で、まだ一夜化されてないナツとハッピーに見付けてもらい、一人だったルーシィは突然の安堵に一時的に胸を撫で下ろす。

ナツたちと一緒に一旦その場を離れて、彼らは荷物倉庫へ、互いに状況を把握しようと隠れ込む


「…どうやら、あの一夜化した人達に匂いを嗅がれると、アレになっちゃうみたいだね」

「他の奴らの匂いを辿って見てみたけど…全員手遅れだった」

「え…っ、ていうことは、ミラさんやナナシも…」

「ああ…よりによってラクサスもだ…」


ナツの言葉と、彼の顔が険しくなったのに、どうやらこの目で確認したんだろうっとルーシィの顔がみるみる内に青ざめる


「じゃ、じゃあ…お母さんも…」

「いや!母ちゃんは見てねぇ!」


そして核心を聞こうとしてから、ナツがハッキリとそう言ったのに、そっか…っとルーシィは小さく息を吐いた。

「どっかに隠れてるかもしんねぇ」っと付け足し、そう彼が言うのに、そうであってほしい、とルーシィは小さく呟いた







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