▼あああなんてこった…!ナナシまでもこんな…イケメンになっちゃまうなんて…!
「ナナシ…!お前…!」
「ブラットメイク…」
「っ!塑琉奈!」
あまりの衝撃に、口があんぐりと開けたまま、そのナナシを見やる。そして震える肩もそのままに彼に問い掛けようとして、ラクサスの言葉に遮られる
同時に、ナナシから「バインド」と「鬼百合」という技の名が唱えられた
「ぐっ…、チィ…!」
「ラクサス!」
ナナシの腕から真紅の魔方陣が表れ、同時に自分自身でブシュッと小さな傷を作る。
そこから溢れた血を素早くごぽごぽと増幅させて、造形が作られていく。それは花の形の薙刀たちとなって、一斉に此方に降り注がれた
ラクサスは俺の前に直ぐ様立ち、それを電撃の纏った拳で、バキンッ、バキンッ、と壊していく。
それでも振り切れない薙刀たちの刃が、ズバッとラクサスの身体中に一線の傷となって残していった。
▼「三散花…メェーン!」
同時に、ナナシはまた魔法陣を出し、次の魔法を唱えた瞬間だ、ラクサスの体に付けられた薙刀の切り傷たち、それが一斉にドォンッドォンッと突然爆発を起こす
その衝撃と、身体中まで轟く爆発音にラクサスに「っう…!」っと堪えるように歯を軋ませる。
「(なんだ、この技…!)」
そして、その攻撃に、身体中から煙を立てたがら、ヒリヒリ、ジンジンと染みるような痛みがラクサスを襲う
「メェーン…」
「…っ!?」
同時に、ウネウネと動いていたベルトがラクサスの足首を絡み付き、そのままぐんっとラクサスを一気に壁に叩き付ける。
それはドガァンッと大きな衝撃音と共に壁に大きな穴を作った
▼「あー…くそ…」
いつも手合わせしてる時より、全然力強いじゃねぇかよ…。見せてねぇ魔法まで使いやがって。こいつ、本気で俺らを止めに掛かってやがる…。
敵にするとこんなにも強いのかよ、ナナシの野郎…。
パラパラ、埃と瓦礫、そして木屑が先ほどの衝撃によって、ふわふわと床に落ちていく。
その中で「メェーン」と言いながらポーズをしてるナナシに、叩き付けられ、穴にはまった状態のラクサスは項垂れながらに、フゥーっと深く息を吐いた
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