▼「メェーン!」

「ナナシ、メェーン…」

「みみみ、ミラ…!リサーナ…!」

駆け付けた二人は一瞬にしてエルフマンと共に囲まれて…。そして人込みが去った時には…一夜化してしまったリサーナとミラがこっちにゆっくり振り向く

その瞬間、ナナシは目をかっ開き、彼の中でガシャーンッとでもいうような衝撃が頭から足先まで走った。


「ナナシ…メェーン…」

「ミラ…、うっ…」

「ナナシ逃げろ!」


ラクサスの大きな声が背中に掛かる。

それでもナナシは、目の前で起きてしまった出来事があまりにも衝撃過ぎて、ガクンっと膝を床に付け、項垂れた。

そこに、一夜化したミラが首を傾げながらゆっくりとナナシに近付いていく。


「すまないミラ…、守れなかった…」

「ナナシ…いい香りよメェーン」


ナナシの目の前で、ゆっくりと膝を折るミラ。そして彼の顔を覗きながらクンクンとナナシの匂いを嗅ぐ。

それに、ナナシはポロリと目頭から涙を流し、力なく笑った。


「どんなミラでも…俺は好きだぞ……」


そして彼はどんどんと一夜化した人々に飲まれていく。

それを目の当たりにしたラクサスがくっ、と首を小さく振り「言ってる場合か馬鹿野郎が!!」っと声を張り上げた。






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