不安は焦りという汗に
▼ドォンッと突然、洞窟から爆音と煙が立ち込める。同時にウワァアッという人の叫び声が、出口の方まで響いていた
「あ…」
マ、スターと、ローグ、さんが始めた…みたい
それを合図を言わんばかりに、立ち込める煙を見上げながら、未だ人の叫び声と共に爆音鳴り止まぬ洞窟の出口の前。シキミはパタパタと忙しなく立ち上がった
「シキミさん大丈夫ですか?」
「シキミー?」
「大、丈夫…です、!」
岩影に身を隠しながら、そんなシキミの様子にレクターとフロッシュが心配な顔持ちで見やる。
けれでもシキミは、ふんっと鼻を鳴らしヤル気満々で。
「(わ、たし…も、お仕事…しな、きゃ…)」
▼「…っふ!」
「ラァッ!」
幸い盗賊の中には、金で雇った魔導士もいなく、俺とローグが歩きながらに一人一人と蹴散らしていく。
「剣咬の虎だ!」「双竜じゃねぇか!」っと驚きの隠せない声を漏らしつつも、此方に構えて向かってくる精神に少しだけ見直した。
同時に、これならきっと一人残らず退治出来るだろ、と内から安堵が広がる
「スティング!盗賊は全員で何人だ?」
「えっと…、確か50!」
ドガッ、バキッ、と武器を手に取り斬りかかってくる盗賊どもの顔を殴り、腹を蹴り、そして時には咆哮で次々と倒していく。
そして、ドサッと自分の足元に倒れた盗賊に見向きもせず、俺はローグの質問に魔法を出しながら答える。
すると「そうか…」っとローグが了解と共に、ブォッと魔力を解放する
「…逃がさずに倒せる範囲だ」
「後数十人。いけるぜ」
そして、そんなローグの言葉の意味を理解した俺も、にんまりと笑い、パァンっと手のひらに拳を叩き、鳴らした
▼二人が討伐の狼煙を上げ、洞窟から爆音や煙が次々と広がっていく。
洞窟だからか、それが更に響いてシキミたちの方まで大きな音となり聞こえていた。
わー、ぎゃー、っと人の叫び声が怒号が混じり合い、それさえも彼女たちの耳に入る。
「(こ、ない…)」
それでも、一向に出口から人がやってこないことに、シキミはあれ?っと洞窟を目の前、首を傾げた
「(やっぱり…、お二人…は、お強い…なぁ…)」
「この調子なら直ぐ終わりそうですね!」
「フローもそーおもうー」
そんな様子を分かっていたのかレクターとフロッシュは緊張感をほどき、嬉しそうに声を上げる。
そしてそれはシキミも改めて二人の強さを確認し、尊敬する一つとなった
「おいおい…、なんだよこりゃ…!」
「俺らが食料調達してる間に…やられてやがる…!」
自分達の後ろ、出口のほんの少し先。岩肌の影から男が二人、隠れているのも知らずに。
▼「46…、48…」
ゴロゴロと、辺りには二人によって倒された残党たちが一人一人と意識を失っていて倒れていた。それを数えながら、縄を掛けて拘束していく。
そして、48、で最後と一人が数えられた時、ピタリとスティングは指を止めて、目を見開いた。
「ローグ!あと二人足りねぇ!」
「なんだと…?」
スティングの焦った声が、でこぼこと穴の空いた洞窟に響き渡る。そして、そのスティングの言葉に、ローグは驚きを隠せない状態へなった。
「早くシキミたちんとこ行こう!あと二人いるかも知れねぇ!」
「分かってる!」
たらり、二人の額に冷や汗が垂れる。同時にスティングとローグは、一目散にその場を駆け出し、出口のほうへ向かった