貴方の方が綺麗です。
▼ちょっと依頼主のとこ行ってくるっと、とある街を着いて直ぐにマスターとレクターさんは、少しの間、私たちの元へ離れる。
あんまり遠くへ行くなよっという彼の念押しに頷く私と、子供扱いするな、と鼻を鳴らすローグさん。
どちらかと言うと直ぐ何処かへ行ってしまうのはスティングだろう…、と歩いていく彼の背を見つめながらそう呟いたローグさんに、私はついクスリと笑ってしまった。
▼「少ししたら戻ってくるだろう」
そうして、私の隣。ローグさんは直ぐ近くにあるお水が吹き出してる場所へ足を進めた。パタパタ、私はそれに、彼のマントの裾を掴んだまま、付いていく。
「お水、いっぱい…」
「ん?」
そこまで辿り着くと、そのお水が吹き出してるそれは遠くで見てたよりも迫力があって…。今でも途切れることなく水がシャアーッと溢れ出てる。
初めてみるそれに、ローグさんの隣でよいしょっと水の中を覗いてみる。すると中にはお金がチラホラ見えた
「シキミは噴水を見るのは初めてか?」
「ふん、すい…?」
「お水がね、ぶあーって、出るのー。」
ふとローグさんから声を掛けられる。そして初めて聞いた単語に首を傾げていれば、隣で私と同じように中を覗いていたフロッシュさんが声を上げた。
▼これ…噴水って言うんだ……
初めて見たけど…綺麗だな…
「…夜になるともっと綺麗だぞ?」
此方を見つめて、フッと笑い掛けたローグさん。そして彼の付け足してくれた言葉に「(声に…出てた…)」っとちょっぴり恥ずかしくなる
もぞもぞと、自分の顔を隠そう、とマフラーを引っ張ろうとしてから、不意にポスンッという音に止められた。
「仕事が終わったら皆で見てみようか、シキミ」
「…、いい、の…?」
「ああ。」
なんだろう、と思うよりも先、ふんわりと柔らかい感覚が頭にあって揺れるのに、私はローグさんを見上げる。
すると、彼は優しい顔つきで笑っていて。
私はそれを目の当たりにして、ついむぐっと、口を結んだ。
「(マ、スター…も、ユキノさんも、そうだけど…)」
柔らかい笑みのまま、こちらを見つめて離さないローグさん。
そんな彼の手は、私の頭を撫でてくれて。それが不覚にも気持ち良くてつい目を細める。
ローグさん、も…本当に、綺麗だな…
噴水なんか、目じゃないほどに。