それ、今なら誉め言葉
▼「お仕事って、なに、をする…ん、ですか…?」っと1ヶ月が経とうとした頃、
不意にシキミに疑問を投げ掛けられて、俺はあっ!と思い出したかのように声を上げた。
「すっかりシキミに仕事のこと教えてなかったな…」
それを見ていたローグが、俺が思い出した意味を理解して、本人も、忘れていたっと肩を落とす。
いや、まあシキミの魔法がどんなものかは教えてもらったけど、仕事に行くって考えてなかった。
それより、俺たちを含め、ギルドの皆はシキミは医務室で暮らしてるのが当たり前、みたいになっちまってて…。
「ごめんなぁシキミ、忘れてて…」
「っ、だ、だいじょ、ぶ…です!」
私、お仕事とか…初めて、だから、と、申し訳なさそうに俯いてそう話す彼女に、逆に俺とローグの内心から深い謝罪が漏れた
▼「…そうだな…、なら俺たちと一緒に付いてきたらどうだ?」
「おっ、それなら安心だしな!」
じゃあ、軽く盗賊狩りにしとくか?っとローグの顔を覗き込む。
それに「ちょっと危なくないか?」っと不安げに言葉を漏らす彼
「俺とお前がいれば大丈夫だろ、な、シキミ!」
「…っん!」
バンバンッと彼の背中を叩き、ローグの肩に腕を回す。
そうして、いつもより近い場所で此方を見つめるシキミにニカッと笑う
すると、彼女は勢いよく首を縦を振ったのに俺はえへへー、と思わず口を緩めた。
そのあとローグに怪訝な顔で「気持ち悪いぞ」っと言われたけど、気にならなかった