目が覚めれば恐怖

▼なんだろう、この感覚。ふわふわ暖かい。柔らかい。なんだろう、とても気持ち良い。 初めての感覚。


「う…?」


柔らかくて暖かいそれにぎゅうっと握ってみる。すると、モフッとする感触に、私は目をうっすらを開けた。

するとそこには、いつもあるはずの視界に広がる青空も、朝日に染まる黄色い空でもない、見慣れない天井があった。


「(あ、れ)」


モフッと柔らかいものを口元に手繰り寄せる。柔らかい…。

体に感じるいつもの感覚もなくて、少し名残惜しい。けれどそのまま暖かさに微睡みながら、ぼうっと「(どこだろう)」っと不思議に天井を見つめてみる。


▼「あっ、起きたか!!!」


すると、ふと横から明るい声がこちらに掛かる。それに釣られるように私は聞こえた方へ顔を向ける。

そこには金髪の男がにっこり笑っていて。


「…ー!?」


瞬間、私の中でゾワッと何か嫌なものが走り抜ける。まるで突然後ろに、危機が迫ってくるような…そんな感覚。


「あ、あの、」

「いやー、アンタ。まさかあんなとこで寝てるとはなぁ」


風邪引くぜ?っとニヒヒっと笑う金髪の男。 その様子を見て、どうやら私はこの人に此処に連れて込まれたのだろうか…、そう思うと更に心拍数が速くなる

何のために?私を殺すため?やだよ、眩しい、苦しい…!!こわい怖い恐いコワイ…!


「ひ、あ…」

「…おい、どうした?マジで風邪引いた?」

「や、だ…、やめ」


男性がこちらに手を伸ばす。ぞくり、また背筋に嫌な感覚が走り、「危ない」「逃げて」「死にたくないよ」そんな言葉の羅列が私の頭の中を覆い尽くす。


▼「おいスティング、起きたか?」

「おー、ローグ。丁度良いとこに来たな、今起きたぞ」


その手は、私に触れることなくスッと下ろされる。同時に私の胸も撫で下ろした。

そして次に聞こえた声の方を見やれば、今度は黒髪の片目が隠れている男性がこちらにやってくる


あれ、この人は…何だか違う。金髪の人は眩しいのに、この人は私に、何かが…似てる?


「俺の名はローグだ。」

「あ、オレはスティング」


視線に気付いたのだろう、フッと笑い自己紹介してくれたローグ、という人。と…何故だか眩しい人、スティング。私は、この人が凄く苦手だ。そう本能的に直感した。






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