安形もボッスンもキリも誰も助けに来ないモブ椿です。椿がひたすら可哀想なだけの話です。
暴力・流血・失禁等の表現が多々あります。
大切な事なので二回言います。本当に椿が可哀想なだけの救われない話なので、苦手な方はご注意下さい。










まだ陽は落ちきっていない、夕暮れ時。住宅街に差し掛かる細い路地裏で、二人の男が殴り合っていた。
いや、殴り合うというよりは片方が為す術なく一方的に打ちのめされているのだ。

「くっそ…強え…お前何者だ!」
「開盟学園生徒会執行部の副会長、椿佐介だ」

言い慣れているのか、長台詞を息もつかず放った。腹を抱えて倒れる男を見据える。淀みない真っ直ぐな視線を突き刺すと、男は口ごもった。

「…俺はタチ高の××のグループにいるんだからな…お前なんてうちのリーダーにはかないっこねえよ」
「なんだ?これ以上怪我をしたくないなら去れ。そして二度とうちの生徒に手を出すな、愚か者!」

ギン、と更に睨まれ男は舌打ちしながら腰を上げた。

「椿、って言ったな。覚えてろよ!今度は仲間を連れてくるからな!」
「ふん、負け犬の遠吠えだな」

椿は半ば呆れながら鼻を鳴らした。
制服についた砂ぼこりを払い、怯えて座り込む女子生徒に手を伸ばす。

「怪我はないか?」
「はい…ありがとうございます。副会長の椿先輩ですよね?」
「ああ」
「大丈夫ですか?あの人また来るって行ってましたけど…」

女子の顔が心配そうに歪む。しかし椿の瞳は一片の陰りもなかった。

「あんな奴、束になってかかってきても問題ない」

彼女は丁寧に礼を言って去っていった。

「質の悪いのがうろついてるな…また生徒達に注意を呼び掛けなくては」

下校中の帰り道、他校の生徒に絡まれていた女子生徒を見かけたのだ。
椿は迷わず暴漢に立ち向かった。相手は女子供にしか虚勢を張れないような小物で、彼の敵ではなかった。



実際問題、椿は武道の達人でその細い体からは想像を絶する強さを持っている。
正義感の強い熱い性格にこの身体能力。
彼には敵が多かった。しかしどんな輩が来ようと圧倒的な強さで薙ぎ倒してきたし、これからもそうするつもりだ。



椿はわかっていなかった。
世の中は正面から向かってくる人間ばかりではない。周到に罠をはり、相手を貶める為ならどんな手段を厭わない輩もいるのだ。
真っ向法ばかりではいつか足元を掬われることを、彼は近い内に知る事になる。





「よお副会長さん、久しぶりだなあ。会いたかったぜ」

例の事件から数日、言った通り男はやって来た。
同じようにガラの悪い仲間を三人引き連れ、わざわざ校門の前で待っていたのだ。椿はうんざりしたが、ここで隙を見せてはいけない。
強い眼光で男達を射抜いた。

「何か用か」
「ちょっと話があるんだ。来ないなら他の奴らに来て貰うけど」

今は下校途中や部活中の生徒で溢れ返っている。皆不安そうにこちらを見ていた。
ここで騒ぎを起こしてはいけない。
背筋を伸ばし、真っ直ぐ見返した。

「話があるなら伺おう。他の生徒達には手を出すな」
「そうこないとな」

男は肩をいからせながらニヤついていた。

「ここじゃなんだから、場所変えようぜ」
「わかった」

四人は背を向け、椿を伺いながら先を歩いた。
のろのろした歩みに苛つきながら後をついていく。生徒達は遠くなる彼の背中を見送るしか出来なかった。



数十分は歩いただろうか。
学園から遠く離れ、町外れの方へ向かっていた。駅を通り越して人気がなくなる。着いた場所は使われていない工場跡にある倉庫だった。
だだっ広い平地は無機質なコンクリートの壁で覆われ、埃っぽい。
中は明かりがなく薄暗かった。入口から差し込む西日で顔が照らされる。
何もない粗野な倉庫には、十人くらいの、やはりガラの悪い連中が群れをなしていた。

「お前が椿佐介か?」

多分グループのリーダーであろう男がゆっくり口を開いた。

「ああ、そうだ。こんな所にわざわざ呼び出してなんの用だ」

一番体格がよく、そいつを中心に群れは成り立っている。
積み上げられた鉄板にふんぞり返って座り込んでいた。

「俺の舎弟がお前にやられたって聞いたよぉ、どんな奴かと思ったが…」

男は舌舐めずりをしながら椿を見ている。ゾワッと鳥肌が立った。
普段向けられる怒りや敵意の視線ではない。頭のてっぺんから爪先まで値踏みされるような、ねちっこいものだ。
椿はそれを跳ね返すように体に力を入れ、身構えた。

「おいおい、この人数で楯突くつもりか?」
「御託はいい。さっさと来い!」

咳を切ったように男達が襲ってきた。
椿にとって、武道をたしなんでいない不良の喧嘩は恐るに足りない。所詮戦いにおいて奴等は素人なのだ。
ただ殴りかかればいいというものではない。
相手の動きを見極め、的確に急所を突く。椿は日々の鍛錬において武術は長けていた。

「うぜーんだよお前!」

数日前の男が拳を振り上げたが、遅い。
避ける迄もなく鼻に一発決めた。体が宙に吹っ飛ぶ。
残りの男達が一気に正面から走ってくる。人数は多いが雑魚の集まりだ。
椿は一人一人、確実に打ちのめしていった。

「後ろがガラ空きだぜ!」

一人が背後から羽交い締めにしてきた。振り払おうと身を捩っている間に、別の奴がナイフを取り出す。さっき鼻を殴った男だ。鼻血を出しながら逆上している。

「殺してやる!」
「なっ…!」

切っ先が凄い勢いで顔に向かってくる。
避けようにも羽交い締めにされて体が動かない。唯一自由な両腕で咄嗟に顔を覆った。

「っ……!」

鋭い痛みが左腕に走った。
ナイフが刺さったのだ。

「ぐっ………っぁあ!!」

ナイフがカン、と高い音をたてて床に落ちる。背後の男は驚いて手を離した。
血が止めなく溢れ出す。一気に傷口は熱を持ち、ドクドクと脈打ち始めた。

「くそっ…!貴様……!」
「殴られたお返しだ!」

男は瞳孔が開きそうなくらい目を大きくし、高笑いしていた。刺された所がひどく熱いのに、全身から冷たい汗が吹き出す。

「はぁっ……はぁっ」

体が重くなり、視界の焦点が合わない。目を凝らして相手を見据えようとするが、今誰が動いているのかもわからなかった。

「っあ!」

ガン、と鈍い音が響き、肩に痛烈な衝撃を受ける。リーダーの男が後ろから鉄パイプで殴ったのだ。

「…くっ、卑怯…者…」

肩甲骨にめり込むように打たれていた。椿はあまりの痛みに気を失う。
どさりと体が床に落ちた。

「大したことねえじゃん」
「いや、俺鼻折れましたよ」

男達は倒れた椿を取り囲む。
リーダーが鉄パイプで椿の頭を小突いた。

「まあこれが空手の試合とかなら負け知らずだろうよ。けど喧嘩には向いてないな」
「こいつどうします?リンチにしますか?」
「いや…」

じぃっと再び品定めの視線を向ける。
椿の凛々しい顔は青白くなっていた。力なく倒れる体は鍛えあげているが、薄くて細い。
男はニヤァ…と顔中に下品笑みを広げた。





「………ぅっ」

ピチョン、鼻先に雫が落ちた。
雨漏りだろうか。会長に報告して丹生に予算を組んで貰い修理をしなければいけない。

しかし目を開けて写ったのは、照明器具のない暗い天井だった。

そうだ、自分は不良達に倉庫まで引き連られ、喧嘩をして刺されたのだ。左腕を確認しようとしたが、両腕は後ろ手に縄で縛られていた。傷口は見えなかったがズキンと痛む。

「起きたか」
「貴様等……怪我した男一人、わざわざ縛らないと暴行も出来ないのか。小心者め」

脂汗をかきながら精一杯の悪態をつく。しかし向こうは気にも留めず、ニヤニヤと見下していた。
鼻にガーゼを貼り付けている男が目の前に座り込む。
椿の短い髪を掴み、無理矢理顔を上げさせた。

「見れば見るほど、本当に女みたいな顔してるんだなあ、お前」

必要以上に顔を近付けられ、椿は眉をひそめた。

「…それがどうした」

キッと睨んだがいつもの威勢はない。
男はそのまま椿を壁に叩き付けた。ずるりと力なくもたれ掛かる。

「いっ……つ、」

奴は目の前に立ち塞がった。また殴られるのか、歯を食い縛る。しかし男の取った行動は予想の範疇外のものだ。
ベルトを外し、自分の一物を突きつけてきたのだ。

「何を…」
「くわえろよ」

頭を掴み、グロテスクなそれを頬に押し付けてくる。



椿は混乱した。
彼は自分を女のように扱い、虐げるつもりなのか。
普段清く正しく美しくをモットーにしているが、その手の知識がない訳ではない。しかしどう足掻いても自分は男だ。
男をこんな風にいたぶって何が良いのか。



自身の外見を自覚していない椿はただ硬直していた。
なんの反応も示さないので向こうは苛立ち、爪先で思いっきり腹を蹴った。

「かはっ!」

突然の事にえづくと、そこへ一物が捩じ込まれた。

「そのまま舐めろよ!」

腰を動かして無理矢理口の中で律動する。むっとした嫌な臭いがするし、顎が外れそうだ。

「むうっ、…っ!」

ガリ、と歯を立てた。自分がもし女で、痛みが想像し得るものでなかったら噛み千切りたい位だ。

「いってぇ!」

男は慌てて引き抜き、股間を押さえながらのたうち回っている。口の中で先走りと血液が混ざり合った。どちらも生臭くて苦い。
べっ、と床に吐き捨てた。

「だせぇなぁ、お前」

他の連中がざわつく中で、リーダーの男は尻込みしなかった。クックッと喉を鳴らしながら、椿に近付く。

「初めての男の味はどうだ?副会長さんには刺激強かったか?」
「…下衆め。僕はお前達みたいな輩に、絶対屈しない」

椿の目はまだ曇っていない。男は天井を仰いで大声で笑い出した。

「いいねえ。そういう態度の方が壊しがいがあるもんだ」

先程鉄パイプで殴られた肩を蹴り飛ばした。
椿は再びうつ伏せで床に倒れる。起き上がろうとしが、頭を踏みつけられた。ぐっと靴の底で押さえ込まれる。

「お前みたいなのはな、先ず逆らう気力を奪うんだ」

足をどけ、椿の後ろに回る。細い腰を両手で持ち上げた。
骨張った太い手が荒々しくズボンを下ろした。

「何を…!」

振り返ろうとすると、肩が痛んだ。ビクッと体を強張らせる。

「いい眺めじゃん」

下着まで下ろされ、尻を向ける形になる。どうにか抵抗を図ろうとするが、縛られた両手はびくともしない。

「やめっ……!」

双丘を割られ広げられる。
次に取る行為は予想出来るが、それは椿の理解を超えたものだ。男が男を犯すなら確かにその器官しかない。
しかしそこは何かを受け入れる為にあるものではない。

「副会長さんの初めて、貰うぜ」

まるでゲームを楽しみ子供のようにふざけている。
入口に押し当てられた。
乾いて狭いそこは、とてもじゃないが入りそうにもない。しかし男は頭の部分をぐいぐいと押し、首のところまで入ると一気に貫いた。

「っ、―――あっ!!」

中が抉れ、裂ける。
あそこから鮮血が流れ、太股を濡らしていく。蹴られたり殴られたりするのとは全く違う。内蔵を直接叩きのめす、内側からの衝撃。
初めての痛みにガクガクと膝が震えた。

「いっ、あ」

床に頭を押し付け、息を吐いてなるべく痛みを和らげようとする。しかしほとんど意味を為さない。
椿の気持ちは勿論汲まず、男は無遠慮に激しく動いた。

「すっげきつい。やべーな」
「やめ、やめてくれ……」

血の滑りが手伝い、律動が更に激しくなる。
しかし椿は楽になる筈もなく、動く度に中の傷が増えていった。

「っぐ、う、あ……」

リーダーは奥まで自分のものを捩じ込ませた後、中へ射精した。カアッと下腹部が熱くなる。
圧迫感で腹が苦しくなり、吐きそうになった。

「はぁっ……ぁっ」

ずるりと引き抜かれ、後ろから受け止めきれなかった精液が漏れる。血と精液が床に滴り落ち、薄赤い溜まりが出来る。
男が腰を掴む手を離すと、そこへぐしゃりと落ちた。

「痛かったか?これ以上ひどい事されたくなかったら逆らうなよ」

椿は返事をする気にもなれなかった。
直腸を筆頭にあちこちが痛い。血も流しすぎて頭がぼうっとしている。
虚ろな瞳で最低限の呼吸だけをしていた。

「本当にわかったのか確かめてみろ」

リーダーが別の奴を呼び掛け、椿を顎で指す。男は恐る恐る倒れた椿の前に膝立ちになった。

「噛むなよ」

チャックを下ろし、怖れながらも既に立ち上がっているものを口に突っ込む。

「う……っあ、ふ」

噛んでやりたい気持ちは勿論ある。
しかしさっきの痛みを思い出すと、体が緊張した。

「……ん」

首だけ上げて、口を開けるのが精一杯だった。椿が抵抗しないとわかると、男の態度が尊大になっていく。

「もっと舌使えよ。いけないだろ」
「……っう」

椿は無理矢理抜き差しするのを受け入れているだけだ。
わざわざ喜ばすのも嫌だが、早く終わって欲しかった。たどたどしく舌を動かす。
男はう、と下品に息を漏らした。

「こいつちゃんと舐めてるぜ。エロいな」

周りが色めき、囃し立てた。

「顔射しろ、顔射!」
「いや、飲ませろ!上の口にも中出しな!」

まるで一つのショーを楽しむかのように、手を叩いたり口笛を吹いてる奴もいる。
勝手な奴等だ。椿は目を瞑り、なるべく現実を無視した。

「やべ、いく」

口の中の陰茎が跳ねた。熱く飛び出した物を直接喉に注ぎ込まれる。

「っう、うぇ……」

こんなの物を飲める筈もなく、椿は床に吐き溢した。粘くて口にまとわりつく。

「なんだよ、吐いたぜ」
「まだわかってないみたいだな」

上も下も犯され、従順になった椿を見て、残りの男達もざわめき始めた。
下卑た笑みをひきつらせて群がる。

「…やっ、やだ!」

怯えて涙ぐむが、それは余計に喜ばすだけだった。
一気に複数の手が椿を襲った。
仰向けにされ、ズボンは放り投げられた。
一人が乱暴にシャツを裂く。手は縛られているから脱がすことは出来ず、かろうじて引っ掛かったが衣服としての機能は果たしていない。

「二番目俺な」

一人が両足を掴み、大きく開かせた。
最初の残滓がそこを濡らしている。男は躊躇いもなく挿入した。二度目と言えどぎちぎちに堅く締め付けている。

「やっ、嫌だ…っう、あっ」

シャツを裂いた男が椿の胸を摘まみ、また別の奴は陰茎を刺激した。

「うっ!ぁ、」

胸は引っ掻かれ、自身は無理矢理皮を剥かれている。
彼等の愛撫は乱暴で、決して気持ちいいものではない。ただ今までと違うもどかしい痛みに、椿はえびぞった。
抗う事は出来ずに、背中で弧を描く。

「はっ…あっ!」

そうする度に縛られた縄が食い込み、血が止まりそうになった。残りの男達は、椿の凌辱される姿を見ながら自分のものをしごいている。
異常な光景に背筋がゾッと寒くなった。

「すっげーきついんだけど。感じてんのか?」
「そんなわけ……っん!」

顎を持ち上げられ、頭上からまた口に一物が突っ込まれた。
無茶な体勢で息が苦しい。
さっきまでは後ろに入れられたら息を吐いて痛みを和らげようとしたが、それも出来ない。
ただ一心に、雑な愛撫と乱暴な挿入を受け止めた。

「う…ん、っ!」

口に入れていた男はあっという間に欲を吐き出した。
ビクビクと痙攣して上顎を打つ。

「今度は飲めよ」

かなりの量を注がれている。
生暖かい苦味をなるべく感じないように、舌を引っ込めて飲み込んだ。喉からうまく滑らずいがいがする。

「……うっ、っ」

男の射精は長く、口から抜いた後も椿の顔にかけた。
陰茎の頭に垂れ残っているものも、彼の額で拭う。放心した表情は陰鬱な白い陰りで汚された。

「エロ……やっべ、俺もういくわ」
「あ、俺も」

その扇情的な姿に、周りの連中も自らが限界に近付いた。

「う、あ!やだ!」

先ず挿入していた男が当たり前と言わんばかりに、中に射精した。最初の精液もまだ残っていて、二人分のそれが腹で混ざり合う。
他の奴等も次々に自分の欲を椿の体に掛け飛ばした。

「はぁ……ぁ」

椿は自らの血溜まりの中、男達の白い精液に犯された。
彼等の興奮は益々高まり、収まるところを知らない。

「次俺がやる!」
「お前さっき口でやっただろ!」

誰も椿を人間扱いせず、ただ愛玩具として楽しんだ。
手酷い仕打ちに彼の尊厳は奪われ、理性は暗く狭い底へ沈んでいく。



「…………」



痛みも快楽も、全ての感覚が消えて死んでしまう方が楽だろう。
しかし彼の体は生命活動を行い保持しようとしている。脈は規則正しく打ち、血液は循環している。

椿は突然の排尿感に襲われた。
下校の時間から、一時間以上は確実に経っている。最後にトイレに行ったのはいつだったか。もじもじと太股を擦り合わせた。

「…あの、」
「なんだよ」

連中は未だに誰が犯すかで揉めていた。
椿はシャツだけの格好で腹這いになっている。
ほとんど裸で、ずっと冷たい床に倒れていたのだ。体は冷えて尿意は更に強くなる。

「トイレに…行かせてくれないか…」
「トイレぇ?」

男は大きな声で復唱した。
高校生が子供のような頼みをするのに、恥ずかしくて目を合わせれない。無言で頷いた。

「トイレってあったか?」

仲間にトイレの場所を確認していると、リーダーが制して立ち上がった。彼は最初の一回が終わってから、煙草を吸って眺めていた。
短くなった煙草を指に挟み、ゆらゆらと椿に近付く。

「なんだ、小便してーのか?」

悪どい笑みで見下ろしてくる。
椿は警戒で体が震えた。下手に反抗的な態度を取ってはいけない。じぃ、と視線を静かに返した。

「なあ、」

男は爪先を椿の横腹に引っ掛け、再び仰向けにさせた。
下肢が露にされて羞恥で体を縮める。しかしリーダーは彼の下腹を踏みつけた。
やんわりと押さえただけで膀胱が刺激される。

「………ぅ、あ!やめ…」
「ここでしろよ」

椿は目を見開いた。
体を暴かれるだけではなく、自ら醜態を晒せというのだ。一方的に犯されるのとはまた違う屈辱だ。
勿論そんな事は出来る訳がない。首を横に振った。

「抵抗したり、逃げたりしないから……頼む」

椿は懇願したが男は薄気味悪く笑うだけだ。

「だーめ」

低い声で、わざと子供っぽく断る。
体を屈み、椿の足を広げる。まだ煙を出している煙草を、左内腿に押し付けた。

「いっ………ぅあっ!!」

皮膚が焼け爛れ、熱く痕を残す。膀胱に入れていた力が抜け、一気に意識がそこへ集中する。

「やっ………!」

自身がブルブルと震え、二・三滴零れた。
男は避ける為に退く。
椿はなるべく見えないようにもう一度腹這いになった。体にかかるのは嫌なので、腰を上げる。

「ゃぁっ……ぅ、あ…見る、な…」

椿のそこは、シャーと音をたてて勢いよく飛び出した。
外で、こんな格好で放尿するなんて、まるで動物みたいだ。しかし一旦出てしまったものは止められない。

「本当に漏らしてるぜ、こいつ!」

男達はゲラゲラ笑い出した。
冷えた体に熱い尿が内腿に当たる。火傷痕にまでかかってジンジンした。

「う、ぁ…」

我慢していたせいで、長いこと流れていた。ぽた、と最後の一滴が落ちた。



尿と一緒に最後の自尊心が崩れ落ちたのがわかる。
彼の瞳はいつもの力強い光を宿していない。しかし男達は知る由もなかった。

「トイレ終わったか?こっち始めるぜ」

次の男が覆い被さってきた。
椿はもうどうでもよくなっていた。とにかく早く終わってくれればいい。





暗い目で天井を見つめる。倉庫の屋根は無駄に高い。
もう夜だろうか。部屋の中は大分暗くなっていた。



まるで落とし穴にいるみたいだ。
いや、実際自分は落ちてしまったのだ。
用意された罠に飛び込み、食われる。堕ちてしまったのだ。
光が届かない、暗い穴に。


椿は静かに目を閉じた。
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