ギンガ ハクタイ ビル



「さ〜て、ポケモン達も回復させたし、次の街は……」


ポケモンセンターでポケモン達を回復させて貰った後。
私は次の街へ向かう準備としてまず、ハクタイシティから近い街はなんだろう、とタウンマップを開こうとしたときだ。


「あれ、ナマエさんじゃないですか!」

「コウキ君! あれ、まだハクタイにいたんだ」

「あっはは……実はちょっと地下通路に行ってました」

「地下通路?」

「はい。シンオウ地方全体に広がっている巨大な地下通路なんですけど、探検セットっていうものを頂いたんで行って、少し前に戻ってきました」


そういえば、服に土汚れが着いていたり、ちょっと熱そうな様子のコウキ君。
話は本当のようだ。


「それで、ナマエさん。ジムどうでしたか?」

「どうだったと思う?」

「え」

「あっはは。ごめんごめん。はい、バッジケース」


私はバッジケースを開き、コウキ君に見える様に向きを変える。
そこに入っていたフォレストバッチを見て、コウキ君は「おぉ! 流石ナマエさん! おめでとうございます!」と言葉をくれた。


「次はヨスガシティかなってボクは思ってます」

「じゃあ早速、ヨスガシティに……」

「あ、それがどうやらヨスガシティに行くにはサイクリングロードを抜ける必要があるみたいで……。それで今、自転車屋に行ってきた所なんです」


ほほう。
シンオウ地方にもサイクリングロードあるんだ。

カントーのサイクリングロードはヤンキーが多くて怖かったなぁ……。
レッドがいてくれなかったら絶対通れなかったもん。

シンオウはどうなのかな。
怖い人いないといいけど……じゃなくて。


「じゃあ、自転車買ったの?」

「それが……どうやら自転車屋の店長が不在みたいで。それも、自転車屋にいた子によると、ギンガ団のビルに行ったきり帰ってきてないそうなんです」


ギンガ団。
そういえば、ハンサムさんが言ってたっけ。
ハクタイシティにギンガ団のアジトがあるかもしれない、って。

それに、さっきポケモンセンターで泣いている男の子がいた。


『僕のポケモン、どこにいっちゃったんだろう……ミミロル……っ』


もしかしたら、ギンガ団が関わっているかもしれない!


「ボク、これからそのアジトを探しに行こうとしてた所で……」

「私も行くよ。さっきポケモンセンターで男の子がポケモンがいないって困ってたの」

「まさか……! 急ぎましょう、ナマエさん!」



***



「……随分分かりやすい所にあったね」

「はい」


”ポケモン募集中”と書かれた看板の後ろに建てられた建築物。
趣味の悪い建物だな。

そもそもギンガ団が街に当然のように歩いて可笑しいと思うのは私だけなのだろうか。
そういやどこかの子供が「ギンガ団かっこいい!」とか言っていたような……。それに、テレビCMも流れていたし。


「準備は良いですか?」

「勿論。行こう!」


私とコウキ君はギンガ団アジトへと足を踏み入れ、室内へ入った時だ。


「君たち!」

「「!?」」


嘘、もうバレた!?
まだ受付らしき所に立ってる人にすら見つかってなかったのに……!


「私だよ、私! ハハハ、驚いたか?」

「その声……ハンサムさん?」

「そうとも。私は国際警察だからね、変装が得意なんだよ」


そう言ってギンガ団の下っ端の格好が変わっ。
……本当にハンサムさんだった。

国際警察になるには変装ができるようにならないといけないのかな。
まぁ、そんな大変そうな職業、容易く入れるとは思わないけど。


「……所で、君たちは一人前のトレーナーだ。大丈夫だろうが、一応『注意しろ!』と言わせてもらうよ。そしてアドバイスだ」


ハンサムさんによると、このビルには階段が2つあり、どちらかは罠であること。
だが、何かしら目印があるだろうとのこと。

どうやらハンサムさんは私達がここに来る前からここに潜伏しており、ここにいるギンガ団アジトの中や下っ端達の様子を観察していたらしい。


「あの、ここに自転車屋の店長……えっと、男性が来ませんでしたか?」

「男性?」

「はい。ギンガ団の人ではないので、恐らく一目見れば分かると思うんですが……」


ここにいたのなら、自転車屋の店長さんを見かけているかもしれない。
私はその人の顔を知らないから、特徴なんてあげられないけど……。


「ふむ……すまないが、私は見ていない。それは確かなのか?」

「はい。その人がギンガ団のビルに行ったきり帰ってきていない、と言ってた子がいました」

「なるほど。分かった、私も協力しよう」

「でも、ハンサムさんはハンサムさんの目的でここに潜伏しているんですよね?」

「確かにここへ潜入しているのには他に理由はあるが、まずは被害者の安否が優先だ。私は別の場所から探してみる。君たちは纏まって行動するんだ」

「分かりました!」


ハンサムさんは1階、私達は2階を見て回ることになった。





2022/2/4


prev next

戻る














×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -