ポケモントレーナーの コウキが しょうぶを しかけてきた!



「ところでナマエさん。昨日の夜の約束、覚えてますか?」

「……勿論、覚えているよ」


実のところ、そろそろ聞かれると思っていたよ。
モンスターボールに触れると、微かに震えた。うん、分かったよ!


「ポケモン達からの返答はね……オーケーだよ!」

「じゃあやりましょう、ポケモンバトル!」


決まれば早速バトルフィールドへ移動だ。
私はボールからスボミーを出し、彼の目線に合わせて屈む。


「まずはバトルについて見てみようか」


私の言葉にスボミーはコクッと身体を使って頷いた。
スボミーを抜くと私が使用できるポケモンは3体という事になる。


「コウキ君は手持ち何体?」

「実は今、手持ちが2体しかいなくて……。今まではモウカザルで何とか勝てていたので」


なるほど。
確かにジムだと岩と草と続いていたから、確かにモウカザルだけで突破できそうだ。

……意外とコウキ君はポケモンを捕まえないタイプなのかしら。


「分かった。じゃあこっちも2体でいくよ」


コウキ君の手持ちはモウカザルがいることだけが分かっている。
あとのもう一体が誰なのか……そこが気になるところだ。


「あなたと、あなただよ。よろしくね」


選ばれたポケモンは嬉しそうに揺れた。
コウキ君、私結構タイプ相性を考えちゃうから手加減はしないよ。


「じゃあ始めようか、コウキ君!」

「お願いします!」


同時にボールを投げる。
互いが選んだポケモンは___


「ゆけっ! モウカザル!」

「いっておいで、ムックル!」


コウキ君が繰り出したのはモウカザルだ。
うん、読み通り!


「やっぱり選んでくると思いましたよ!」

「タイプ相性で選ばせて貰ったよ」

「……そうだと思いました! モウカザル、”かえんぐるま”!」


コウキ君がモウカザルに指示を出す。
ここは軌道修正がしやすいあの技で!


「ムックル、ギリギリまで引き付けて!」


”かえんぐるま”は身体を炎で纏いながら突進する技だ。
これはモウカザルが覚えているし、カントーにいるギャロップがポニータだった時にも覚えていた。

だからこの技の概要はちょっと詳しかったりする!


ムックルは私の指示通りモウカザルが迫るギリギリまでその場で待機している。
……よく見るのよ、私。タイミングを外しちゃダメよ。


「……今! ムックル、避けて”つばさでうつ”攻撃!」


ムックルは迫り来るモウカザルを横に避け、弧を描くように攻撃を当てた。


「やりましたね! モウカザル、”マッハパンチ”!」

「っ! ムックル!!


モウカザルの攻撃がムックルに直撃した。
何とか空中で体勢を立て直したムックルはこちらを振り返り「まだいける!」と一鳴きした。


「よし。ムックル、”でんこうせっか”!」

「モウカザル、”みだれひっかき”!」


互いに距離を詰め、そして攻撃を躱す。
”でんこうせっか”のスピードに反応できなかったのか、技の恩師もあって軌道修正が早かったムックルの攻撃が命中した。


「お返しだよ」

「……へへっ、なんだかいつもよりバトルが楽しく感じます!」

「それは嬉しいな」


互いに残り体力は同じくらいだろうか。
……ここら辺で決めたいところだけど、モウカザルはムックルにとっては格上。弱点タイプを用いるから対等に戦えている状態なだけだ。

ここは焦ってはいけない。
確実にこちらが有利な状況を作るんだ。


「モウカザル、”かえんぐるま”!!」

「ムックル、”かけぶんしん”!」


モウカザルが突進してくる前にムックルはいくつもの分身を作り出した。
数匹いる中から本物を当てなければならないが、突進技は急な方向転換が難しいため、はずれのカードを引いてしまえば___


「っ、偽物!?」

「今よ! ”つばさでうつ”攻撃!」


こちらのものってね!
ムックルの”つばさでうつ”攻撃を二度受けたモウカザルは限界を迎えたのか、その場に倒れてしまった。


「……なるほど。相手の体力が落ちていても攻めに行くのではなく、守りに出るんですね」

「明らかに練度の高いモウカザルと、彼と比べて経験が浅いムックル。この条件下だったからそちらを選んだだけだよ」

「ナマエさんのバトルは、本当に勉強になります」


タイプ弱点。ナマエさんはよく意識してますよね?
そう言いながらコウキ君はもうひとつのボールを握った。


「きっと貴女は最後の1体にモウカザルを選んでいる。違いますか?」

「……よく分かったね」


そう。
私が選んだもう1体はモウカザルだ。

選んだ理由なんて単純だ。
コウキ君の持つモウカザルが、私のモウカザルと縁がある。ただそれだけ。


「実はボク、貴女のモウカザルに対抗するために育てたポケモンがいるんですッ」


そう言ってコウキ君はボールを空へ投げた。
ボールから飛び出してきたのは___


「ゆけっ、ユンゲラー!!」


黄色い身体を持つ、カントー地方でも見たポケモン…ユンゲラーだった。





2021/12/20


prev next

戻る














×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -