対 戦国伊賀島中
戦国伊賀島中のキックオフで後半戦開始
「……ディフェンスを固めてる。やっぱり円堂さんの手……」
「負傷したみたいだな」
ゴール前が固められている姿を見て、円堂さんは前半戦のあのシュートを防ぐときに負傷していたようだ。
しかし、君達は速さで彼ら戦国伊賀島中に負けている。守ってばかりでは点を取れないぞ。
吹き飛ばされていく雷門を見ながらそう思っていると、あの11番の人が飛び出してきた。
11番の人を防ぎに行ったのであろう風丸さんは、簡単に躱されてしまった。
つまり、今ゴール前を護っているDFは……壁山ただ一人だけだ。
11番の人がシュートを放った。
その位置は、壁山の正面だ。
「…!おぉ」
まるでそびえ立つ壁のように立ちはだかった壁山が、シュートを跳ね返した。……あれは必殺技かな?
しかし、跳ね返したボールは再び11番の人が拾った。
そして、先程見せた必殺技を使ってきた。
今の円堂さんに防げるだろうか。
“ゴッドハンド”で迎え撃った円堂さんを見つめる。
「あっ!!」
2点目……ッ!そう思った時、
「風丸さんナイス!!」
入る寸前で風丸さんがボールを受け止めたのだ。
いつの間にあんな所に!結構速いじゃん!
「……雷門の事を弱いと言っている割には、随分と見入っているではないか」
「うっ」
鬼道さんの言葉に言葉を詰まらせる。
……別に良いじゃんか、もう。
風丸さんはそのままボールをキープし、豪炎寺さんと並ぶ。
そして、以前見たあの技……“炎の風見鶏”を使った。
伊賀島中GKは反応できず、点を許してしまった。
1-1
雷門は同点に追いついた。
「……もう時間があまり残ってないな」
腕時計を見て、思ったことを口に出す。
フィールドに視線を移すと、風丸さんからボールを奪おうと11番の人が向かってくる。
速さは同じくらいかな。だけど、
「サッカーは個人競技じゃないんだよなぁ」
風丸さんが背を向けた状態で後ろにボールを大きく蹴った。
そして11番の人を振り切った。結構やるじゃん。
ボールは豪炎寺さんへ渡った。
豪炎寺さんの必殺技“ファイアトルネード”が伊賀島中ゴールへと迫る。
伊賀島中GKは反応は出来たものの、“ファイアトルネード”の威力に叶わず、ゴールを許してしまった。
2-1
雷門中が逆転した。
「…お」
鳴り響いたホイッスル。……試合終了のホイッスルだ。
雷門中の勝利で試合は幕を閉じた。
「……決勝で戦う時が楽しみだ」
「お、随分と自信があるみたいだね」
その言葉にそう言うと、鬼道さんは携帯を出した。
それを不思議そうに見つめていると、「苗字」と僕の名前を呼びながらこちらを見た。
「どうせ暇だろ。俺達の試合、見にこないか?」
「……どうして僕はこんなにも暇人扱いされるのかな」
春奈にも暇人だって言われるし……。
少しイラッとしている間にも「ほら、早く携帯を出せ」と鬼道さんが催促するので、渋々携帯を出す。
「俺達の対戦相手は世宇子中なんだ。……その目でもう一度、帝国学園の実力を見てくれ」
「……いいけどさ。足、大丈夫なの?」
「俺は出ないつもりだ。相手は招待推薦校だが、問題ないだろう」
「ま、40年間無敗だったもんね。……分かった、見に来る」
鬼道さんから携帯を受け取りながらそう言った。
……なんで連絡先交換したんだ?
あ、試合の日を教えてくれる為かな?……別に大会HPを見れば分かるんですけど?どこまで僕はバカにされてるわけ!?
「またな、苗字」
「またね、鬼道さん」
鬼道さんの背中を僕は見送った。さて、僕も帰ろうかな。
観客席から立ち、会場を後にした。
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2021/02/21
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