光と闇

side.音無春奈



「所で、先程の女子生徒は?」


隣に座っていた『角馬圭太』先輩が名前について尋ねてきた。


「1年の苗字名前です。それが、どうかしましたか?」

「な、ななな苗字名前ですと!?」


名前の事を教えると、角馬先輩は驚きの声をあげた。
……どうしてこんなに驚いているんだろう?


「先程からもしやとは思ってましたが……やはり本人でしたか……!!」

「あの……名前がどうかしたんですか?」


ぶつぶつと何かを言っている角馬先輩にそう問う。


「知らないのですか!?苗字名前という選手を!?」

「選手?名前は前に何かスポーツでもやってたんですか?」


確かに名前は運動神経がいい。
足も速いし、体育の時間では陸上部を軽々と抜き去っていた。というか前に陸上部に勧誘されていた。
何かスポーツでもやっていたのならその運動神経も頷ける。


「ええ勿論!なんせ彼女は、“光のストライカー”と呼ばれたサッカー選手なのですから!!!」

「……え?」


その“光のストライカー”っていうのは、名前のお兄さんの事じゃ……?
そのことを角馬先輩に伝える。


「?確かに、彼女には2歳離れた兄がいますが……」

「2、歳……?双子のお兄さんじゃなくて?」

「確かに、彼女の兄は双子といっても頷けるほど似ていらっしゃいますが、兄の方は髪の色が黒なので、違いははっきりと分かりますよ?」


じゃあ、秋葉名戸学園の試合に現れたのは、双子のお兄さんではなく……


「名前だったって事…?」

「彼女は今年から中学部門のフットボールフロンティアへの参加が認められますからね。あの試合で彼女が現れた時、私感激してしまいました……!!」


角馬先輩の言葉を耳に入れながら、私は決意をした。
学校であったら必ず捕まえようと。

聞き出して見せるわよ……、“光のストライカー”と呼ばれた貴女について!!



光と闇 END





2021/02/20


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