対 帝国学園



「とりあえず観客席は見て回ったけど……」


観客席を見て、次にフィールドに視線を向けた。
フィールドには帝国と雷門がアップをしており、僕が見回っている間にフィールド入りしたようだ。
段々と観客席が埋まっていく中、僕がある人がいないかフィールドを見る。


「…………! いた」


丁度フィールドに現れた人物を見て、視界に捉える。
僕が探していたのは鬼道さんだ。
鬼道さんはフィールドを暫く見つめていたが、観客席側に視線を向け始め、こちらを見た。どうやら僕を探していたらしい。

罠は見つけられなかった、という意味を込めて罰を作ると、鬼道さんは頷いてくれた。どうやら伝わったらしい。
やることやったので僕は自分の座る席を探すことに専念した。


「結構人多くなってきたなぁ……座れるかな」


向こうに雷門中生徒が集まっている所があるが、あそこに座る気はない。だって私服で来ちゃったしね!!
そう思いながら座れる場所を探していると、


「ギャアアアアアアッッッッ!!!?」


誰かの叫び声が聞こえた。
その声はフィールドからした声で。


「……大丈夫、だよね?」


フィールドには雷門中が集まっていたが、流石にこの人の多さだ。周りの声で雷門中の話している内容は聞こえるわけがない。


「……見つけられたのかな、鬼道さん」


そろそろ入場の時間なのか、フィールドを去って行く選手達。
その中でマントを身につけた背中を見送りながら、僕はそう呟いた。



***



選手入場

審判と選手達が入場。
選手達が握手をしていく中、円堂さんと鬼道さんが握手を交わす。
鬼道さんは円堂さんの耳元に顔を近付け、何かを話している。


「……」


何事もなく試合が始まるのを祈って、フィールドを見つめる。
選手達がそれぞれポジションに付き、試合開始のホイッスルが鳴り響いた。
____瞬間。



「!!!」


大きな音が会場に響く。
それは目の前のフィールドに、巨大な鉄骨が落下してきた事で発生した音で。


「これが……、鬼道さんが言っていた『罠』…!?」


未だに落下している鉄骨を見て、嫌な光景を思い出す。
砂埃に包まれたフィールドを見て、最悪な事を考えてしまう。
これが、帝国学園の監督が仕掛けた罠なのか……!?


「無事でいて……っ」


祈るように手を握り、砂埃が晴れつつはるフィールドに視界を向ける。
雷門側のフィールドの砂埃が晴れ……、その光景は。


「良かった……!」


鬼道さん、間に合ったんだね……!
雷門中サッカー部が無事なのを確認し、ホッとする。


……グラウンド整備のため、試合は一時中断された。





2021/02/20


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