対 御影専農中
御影専農のキャプテンさんが豪炎寺修也の必殺シュートを弾いた。
弾かれたボールは、後ろから上がってきた来た雷門の11番さんが拾う。
もしかして、あの赤いドラゴンの必殺シュートを使うのかな。
僕の予想は当たり、11番さんの必殺技と豪炎寺修也の必殺技が合体した必殺シュートが御影専農のゴールへと向かう。
御影専農のキャプテンさんは先程と同じ必殺技を展開し、シュートの威力を殺そうとしたが、先程豪炎寺修也の必殺シュートと同じように、ボールを弾いた。
「……前回止めたときは、もうちょっと余裕そうに止めていたけどなぁ」
思ったことを口に出していると、ディフェンスから上がってくる者が。
「…野生中で見せたあの技か」
ディフェンスから上がってきたのは壁山だ。
何をしようとしたのか分かったので、御影専農のキャプテンさんにその必殺シュートは通じるのかな?と彼らを試す。
「必殺技を変えた?ねぇ、今変わったよねおっさん?」
「ああ。恐らく、データ通りにいかなかったんだろう。……後、俺には『鬼瓦』っていう名前があるんだがねェ」
僕の言葉にそう反応したおっさん。
そしてついに判明した名前。
「へぇ〜。じゃあ、鬼瓦のおっさんだね!」
「だからおっさん呼びやめろって言ったろ」
「ねぇねぇ、鬼瓦のおっさんって普段何してるの?ずっと雷雷軒で新聞読んでんの?」
「全く話聞いてねェな嬢ちゃん…」と言って鬼瓦のおっさんは溜息をついた。
「俺は刑事だよ、嬢ちゃん」
「へぇ、刑事さんなんだ〜」
確かに、なんか刑事っぽい格好かも〜っと思っていると点数が入ったホイッスルの音が。
1-0
御影専農が先取点を獲得していた。
「え〜、雷門先取点取られちゃってんじゃん」
「嬢ちゃん、応援に来てるんならちゃんと見ろよ」
「暇つぶしで此処に来てるだけだし。見るか見ないかは、僕の自由でしょ?」
鬼瓦のおっさんにそう返してフィールドに視線を向ける。
先取点をとった御影専農は、完全に守りの体勢に入ってしまった。
ボールを奪おうと雷門は奮闘しているが、やはり彼らのプレーを把握しているからなのか。雷門は御影専農からボールを奪えない。
「勝利という『結果』だけに価値がある、って事か」
「何それ……すっごくつまんない」
命令された事だけを実行するロボットのように、淡々と行動をする…。
前回の野生中が人間の皮を被った動物なら、この御影専農はロボット人間か。
結局雷門はボールを奪えないまま、前半戦は終了した。
「試合が終わるまであのプレーを続けるのかな」
「だろうな」
僕の言葉に鬼瓦のおっさんはそう答えた。
…あの人達、感情はあるの?
2021/02/18
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