対 野生中



試合当日


「…なにここ」


試合会場である此処『野生中』。


「……ジャングルじゃん!!!」


まるでジャングルのような場所に、その学校はあった。
…寒いって言わないでね。思ったこと言っただけだし、態とじゃないし。


「なんかあっつー…、袖まくろ」


本当にジャングルにいる気分なってきたのか、身体が暑い。
涼しさを求めて袖をまくった。
なんでパーカーで来ちゃったんだろ、僕……。


「…て言うか、野生中サッカー部って何か…」


フィールドの中にいる野生中サッカー部を見て思う事がある。


「……あれ、人間なの?」


どう見ても、動物を見ている気分にしかなれない。
だってあの監督、さっきから雄叫びしか上げてないじゃん!しかも、一言も喋ってないし!!
それに、選手の方も動物みたいな声出しているし!!


「……それぞれの個性が強すぎる…っ」


情報量の多さに頭が混乱して、何か酔った気分……。
もう動物って思って良いかな、良いよね?


「さて、そんな相手の野生中に対して、雷門はどう対策を練ったのかな?」


栗松が言っていた『色々な特訓』の成果、フィールドで見せてよね。
……やっぱり熱いな、影に行こう。


「……高さだけなら、か」


それは、僕にも勝てるって事なのかな?
僕も空中戦は得意だし、速さと体力には自信がある。


「…そんな人、いるのかな」


そんな事を思いながら、フィールドが見える場所で日陰のある所を求めて、野生中を歩き回った。
私服で来たことが仇になったのか、野生中の生徒であろう人達に絡まれたのは別の話。
…だって、制服洗ってたんだもん。

あーあ、また春奈に怒られる〜…。
いや、野生中の試合の日は用事があって見に来れなかったって事にしておけばいっか!だって僕以外に見に来てる人いなさそうだし!


「フットボールフロンティア、か。……出て見たかったなぁ」


零れた本音を呟きながら、木に背を預けてフィールドを見つめた。
間もなく試合が始まる。





2021/01/17


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