参戦! 雪原の皇子



「本当に速いね、名前ちゃん」

「ま、これでも世界大会の代表に選ばれた事あるくらいなんで」


教室に戻って、休憩している僕達。
ストーブの前を陣取って餅を食べていると、隣に吹雪さんが座った。

そして上記の会話に至ったわけだ。


「……苗字、今なんて?」

「え? 世界大会の代表に選ばれた事あるってことですか?」


尋ねてきた風丸さんにそう言えば、周りから驚きの声があがった。


「そんなの聞いてないぞ!」

「名前、言ってなかったの?」

「言う必要ないかなって思ってたから」


近くの椅子に座ってパソコンで何か作業をしていた春奈が呆れたように溜息をつく。
「あ、そうだ」といってカタカタとキーボードを叩き、「あった!」と春奈はこちらに画面を見せた。


「”光の如く現れた新生ルーキー『苗字名前』”……」

「お、コメントも載ってる。何々、初めて世界という舞台に立つ以前に、日本代表として選ばれたこと、とても光栄で……」

「うわあああああっ!? 何読んでるんですか、止めて下さい!!」


春奈が見せた記事の見出しと本文を読み出した風丸さんと土門さんを慌てて止める。


「鬼道は知ってたのか?」

「ある程度調べさせて貰ったからな」

「勝手に調べるとか迷惑ですよ、本当」

「なんだ、嫌だったのか。それなら嫌だと言ってくれたら良かったのに」

「そう言って止めてくれそうに見えないですけど」

「ほぉ……?」


鬼道さんの不敵な笑みに顔が青ざめる。
な、何かされる気がする……!


「春奈っ、君のお兄さん怖いよ!!」

「? 怖くないわよ、優しいじゃない」

「君限定のような気がするけどなぁ……」

「それに、貴女は隠し事が多いのよ。だからお兄ちゃんが怒るんじゃない」

「そんなつもりないのに……」

「自覚がないのが一番ダメなのよ」

「もうこの兄妹やだぁ!!」



***



円堂さんと染岡さんが戻ってくるのを、ストーブの前で餅を食べながら待っていた時。


「た、大変です!!」


先程と同じく椅子に座って、パソコンのキーボードをカタカタと叩いていた春奈が声をあげた。


「これ見てください!」


そう言って春奈はパソコンの画面をみんなに見える様に向きを変える。
パソコンの画面に映っていたのは……


『白恋中の者達よ、お前達は我がエイリア学園に選ばれた。サッカーに応じよ』

「レーゼ……!」

『断る事はできない。負ければ破壊が待っている。助かる道は勝利のみ』


動画はそこで終了した。


「この白恋中に……」

「エイリア学園がやって来る……!」


周りに緊張した雰囲気が出ている中、僕は。


「……あの顔……」


髪型が違ってるから別人かもしれない。そもそも宇宙人だから別人のはずなのに。


「リュウ、ちゃん……?」


かつて僕が暮らしていた孤児院にいたとある少年に似ている気がしたんだ。





2021/11/14


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