参戦! 雪原の皇子



キャンプファイアーを燃やし、色んな人の演し物を見て楽しんだ後、就寝時間がやってきた。



「女子はこっちよ!」


そういって夏未さんは何かを放った。
その放ったものは瞬時に膨らみ、テントと化した。


「何あれすっごい!! 夏未さん、これどこで買える!?」

「どこにも売ってないわよ」

「えー、そんなぁ」


まあ、仮に買ったとして結局使わなかったら意味ないし……今回の旅だけで楽しもう。

男子と一緒にキャラバンで寝ようとしている塔子さんに苦笑いしつつも、テントに入る。


「わ〜っ! ひっろ〜い!!」

「喜んで貰えて何よりよ」

「ねぇ夏未さん。僕に売ってくれません?」

「なんでよ」

「というより、そんなに欲しいの……」

「だって、いつかキャンプに行くときに使いたいじゃん」


キャンプ懐かしいなぁ。
昔住んでた孤児院のみんなでキャンプしに行ったっけ。


「……みんな、今どうしてるのかな」

「? 何か言った?」

「ううん、なんでも。ささっ、早く寝よーよ。僕疲れちゃった」


テントの中にあったシュラフを借りて、春奈と木野さんの間に寝転がる。
小さな光が灯る中、うとうとしていた時だ。


「ねぇ、塔子さん。ちょっと聞いていいかしら」

「何?」

「……円堂君の事が好きなの?」


突如始まった恋バナ(?)。
しかも切り出してきたのは夏未さんである。


「好きだよ。ああいう奴、大好きだ」

「男の子としてですか?」

「そんなの関係ないだろ。友達として、サッカー仲間として大好きだよ」


春奈の質問に塔子さんがそう答えた。
その時、隣にいた木野さんと夏未さんが目を合わせてホッとしたような表情を浮べていた。


「……夏未さん。もしかして、円堂さんの事好きなんですか?」

「はぁっ!? そ、そんなわけないでしょ!?」

「そうなんですね〜」


明らかにバレバレである。
ま、気がつかないフリでもしてあげよっと。


「そういう貴女はどうなの? あまり恋愛事に関心がないイメージなのだけど」

「僕?」

「あ、それあたしも気になる! なんか苗字って男っぽいし!」


それ、塔子さんにそのままお返ししたいんだけど……。


「僕はね、兄さんが好き!」

「そうじゃなくて……お兄さん以外の男の人よ」

「そんな人いたことないよ。それに、恋愛とかよく分かんないもん」


まだサッカーを知らない時は、可愛いものが好きだったりと女の子らしい所はあった。
けど、サッカーに出会ってからは段々と女の子らしさが薄れていった気がする。

……自分で思っていて悲しくなってきた。


「お前、結構顔良いからモテそうだけどな」

「それはどうも」

「否定しないのね……」

「褒められたことは素直に受け止める人なので!」


なんだかんだ喋っていたら眠気が吹っ飛んじゃった……。
寝れるかな、僕。





2021/11/7


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