対 木戸川清修中



試合当日

当たり前になったが、試合観戦に僕は制服を着ることを止めた。だって、制服着てたら携帯堂々と触れないじゃん。


「円堂さんは止められるのかな……あの三人連携技を」


ホイッスルが鳴り響く。
木戸川清修のキックオフで試合開始だ。

染岡さんがスライディングでボールを奪いに行ったが、躱されてしまった。
少林寺と松野さんが向かって行ったが、ピンクの七三分けがボールをあげた。……センタリングか。


「“バックトルネード”。……先日の決闘では止めたけど、どうかな?」


緑モヒカンが“バックトルネード”が雷門中ゴールへと向かう。
円堂さんは“爆裂パンチ”で立ち向かったが……。


「……やっぱりか」


あの性格だ。…やはり、加減していたか。
円堂さんは防ぐことができず、ゴールを許してしまった。

0-1
木戸川清修に先取点を取られてしまった。


「……嫌いだなぁ、あの三兄弟」


試合再開

ボールは再び木戸川清修に渡り、ピンクの七三分けがセンタリングをあげ、緑モヒカンが“バックトルネード”を打った。
円堂さんは“ゴッドハンド”で迎え撃ち、見事に止めた。


「……もしかして、手加減していたのは円堂さんもかな?」


口がニヤけた感覚がした。
しかし……


「……木戸川清修は、あの三兄弟を中心に構成されているのか?」


ずっと気になっていたこと。
攻撃に向かっているのが、あの三兄弟だけなのだ。
まあでも、やはり兄弟だからか連携はいい。……うーん、連携がいいってよりやっぱり以心伝心って奴なのかな。まあどうでもいっか。
再び緑モヒカンの“バックトルネード”が雷門中ゴールに向かって行く。
円堂さんは先程敗北した“爆裂パンチ”で迎え撃ち、見事防いだ。


「調子出てきたんじゃない?」


木戸川清修のMF(実況の人が言ってた)がサイドから上がってくる。
あの三兄弟以外がボールを持ったの、初めてじゃない?
さ、あの三兄弟以外の木戸川清修の実力はー……


「……ん?今のは……」


木戸川清修のMFが出したパスを緑モヒカンが横取りした。
まあ、壁山の必殺技でボールは奪われ円堂さんがキャッチしたけど。


「……もう20分経ったのか」


雷門、全く反撃の字が見えないけど。後10分で前半戦終わっちゃうよ?
まあ、フィールドの中にいると時間の間隔分からなくなっちゃうんだよね。速いと感じるときもあれば、遅いと感じるときもある。


「……やはり、そうか」


暫く見ていて木戸川清修というチームが分かった。
最初はあの三兄弟を中心としたチームだと思っていたが、どうやらあの三兄弟を中心としているのではなく、あの三兄弟が好き勝手やっているだけのようだ。…そのようにしか見えない。


「付け入る隙があるよ……鬼道さん」


4人で集まっている雷門の輪を見つめて、その中にいる鬼道さんに視線を向ける。
貴方はどうゲームメイクするのかな?
先程、木戸川清修のパスミスで、ボールがフィールドの外に出たので、雷門ボールで試合再開。


「……は?」


円堂さんは近くにいた土門さんパスを出した。
それ、相手にチャンスを与えるだけじゃ……
ほら、三兄弟もチャンスだって思ってボールを奪いに……


「…!染岡さんと豪炎寺さんが動いた」


染岡さんに1人、豪炎寺さんに2人か。やっぱり元チームメイトだからか、木戸川清修は特に豪炎寺さんを警戒しているんだろう。
ボールは鬼道さんに渡り、恐らくマークの少ない染岡さんに……


「……えっ!?」


何と、円堂さんがゴールを離れたのだ。
あ、もしかして“イナズマ1号”?
だけど、豪炎寺さんと距離があるし……
そう思いながら鬼道さんに視線を移すと、パスを出していた。
パスを出したのは、豪炎寺さんでも染岡さんでもなく……。


「……あの人、誰だ?あ、そういえばあの偵察の時にいた気がする」


後ろから土門さんと円堂さんが上がってくる。
……何かやるな。
円堂さんがゴールを離れているのは、攻撃の時だけだ。


「何、あの技……!」


三人が交差した事で発生したパワーで、翼の生えた白馬……『ペガサス』が現れる。
そのシュートに木戸川清修のGKは反応出来ず、ゴールを許してしまった。


「三人による連携必殺技、か…。って事は、先程の染岡さんと豪炎寺さんは囮……?」


FWを囮にするとは。……鬼道さんのゲームメイクは読めないや。
鳴り響いたホイッスル。……前半戦が終了した。


「さぁて、お手洗いに行こーっと」


席を離れて、僕は一旦観客席を離れた。





2021/02/21


prev next

戻る














×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -