期末の時間

side.×



【理科】



「名前さん、すごい……!」

「はぁ!?」


奥田と小山の目線の先にいるのは……


「僕の言う事が聞けないのかい?」

「「「うがああああ」」」

「痛いのは嫌だろう? 大人しくひざまずきなよ」

「「「があああああ」」」


多くの問スターを調教……手なずけている名前だ。


「待て待て!?手なずけるとかどうやったら出来るんだ!?」


小山の鋭いツッコミが飛ぶ。
周りが杖を使っている中、名前はたった一人だけ鞭を使っている。
パシンッと音を立てて問スターに鞭が当たる。その音が何とも痛々しい。しかも威力も相当なものなようで、問スターの頑丈な鎧が所々凹んでいる。


「うんうん、素直に従う奴は人外だろうと好きだよ♪」


その表情はとてもニッコリとしているが、その笑顔とは裏腹に言っている内容はかなり黒い。完全に痛めつける事に快感を覚えているという表情だ。
つまり何が言いたいのかというと、名前はかなりのサディズムだと言う事だ。



***



【社会】


多くの爆弾が降り注ぐ中、素早い動きで躱していく者が。


「よっ、はっ」


その人物は懐へと入ったと思えば、問スターを一刀両断にしてしまった。


「流石だな、苗字」

「磯貝も調子良さそうだね」


しれっと人の獲物……磯貝が相手にしていた問スターを奪ったのは名前だ。
磯貝はそのことを気にしていないようで、名前を褒めていた。
互いに自然と背中合わせになり、それぞれ問スターのところへと駆けて行った。


「だ、誰なんだ君は……!」


再び人の獲物を奪った名前。次に横取りをした相手は荒木だ。
名前は地に伏せていたその人物に気付くと、営業スマイルとでも言うような笑顔で荒木を見下ろす。


「挨拶が遅れました。私は先日E組に転入してきた苗字名前と申します。どうぞよろしく」


人懐っこい笑顔を見せ、鈴のような優しい声で丁寧に挨拶した名前。
その表情は全て彼女が“作った”もので、本心ではない事に、その笑顔を向けられた本人荒木は気付いているだろうか。



***



【国語】


問スターの周りを舞う紅葉。
その中心に立っているのは___


「日本の詩はいいね。響きが綺麗で美しい」


大きな音を立てて倒れる問スター。その問スターを簡単に斬り倒したのは名前だ。
彼女の周りに舞っている赤い紅葉が儚さを際立てる。


「なんて美しい……!彼女は一体……?」


その光景を見ていたのは榊原だ。どうやら名前に見惚れているらしい。


「彼女は本当になんでもできる。才色兼備という言葉が彼女の為にあるような程に」


その様子を見ていた神崎は、ポツリと彼女に抱く印象を零す。


「さぁ、まだまだ僕と遊んでくれるよね?」


名前が薙刀を構え直す。
その表情に儚さは感じられず、獲物を見つけたと言わんばかりの好戦的な表情だった。



***



【数学】


「やあ苗字さん。随分派手に暴れ回ってるみたいだね」


テスト開始まで静かに待っている名前の隣に赤羽が現れる。


「だって簡単過ぎるんだもの。苦戦している人達の考えが理解できない」

「ふ〜ん」


名前と赤羽は同じスタート位置のようだ。
そこにもう一人現れる___。


「彼が理事長殿の息子……浅野学秀か」


さて、どれほどの実力なのか見させて貰おう。
名前は学秀を見てニヤリと笑った。





2021/03/26


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