第2節「雄英体育祭:前編」
体育祭当日
この2週間、今までより厳しめのメニューを組んで貰い、サーヴァントに協力して貰った。
現在私達生徒は控え室にいる。
私が座っているテーブル席には響香ちゃんと百ちゃんも座っている。
みんな緊張しているようで、あまり騒いでいる人はいない。かく言う私も緊張している。
「みんな、準備はできてるか!?もうじき入場だ!!」
いよいよ始まるんだ。
飯田君の言葉を聞いて少し緊張感が増した気がした。深呼吸をして落ち着こう。
胸に手を当て、ゆっくり深呼吸をしていた時だ。
「緑谷」
静かな空間に、幼馴染みの名を呼ぶ声がした。
「轟君……何?」
自分の名を呼んだ人物……轟君にいーちゃんがそう答える。
2人が一緒にいた所は見たことがない。
いや、そもそも轟君は誰かと一緒にいること自体見たことがない気がする。
「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」
「え?……う、うん」
「けどお前、オールマイトに目ェ掛けられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねェが……、勝つぞ。お前には」
轟君の言うとおり、確かにいーちゃんは何かとオールマイト先生といる事が多い。
他の生徒との接点は知らないけれど、オールマイト先生はいーちゃんに気を掛けている気がする。
あの日……去年、ヘドロ敵に襲われてた私といーちゃんの前に現れたオールマイト先生。
去って行ったオールマイト先生にいーちゃんがしがみついちゃったんだったっけ。
もしかしてあの日の件で……?
考えても仕方ない。
まあお気に入りの生徒の1人や2人いても良いと思うし……と考え込んでいると視界が薄暗くなる。
私の近くに誰かが立っている。そう思って視界をそちらへ向けると……
「……苗字」
なんと先程までいーちゃんの場所にいた轟君がそこにはいた。
「何かな?轟君」
オッドアイの瞳が私をジッと見つめる。
轟君の言葉を黙って待つ。
「どうやら周りの奴らは知らねェみたいだが___俺は知っている」
轟君の言葉に疑問を抱く。
……一体君は、何を知っているの……?
轟君はそれだけ言って控え室を出て行ってしまった。
「名前、どういう事?」
「さぁ……轟君が何を思ってそう言ったのかさっぱり……」
響香ちゃんの質問にそう答えるしかなかった。
だって轟君の放った言葉の意味を読み取れなかったのだから。
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2021/07/04
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