「大好きだよ名前ちゃん………お別れだ」

「いかないでッ!!まだ私、貴方に何も……!!」



私に恋という感情を、人を愛することを教えてくれたあの人はもういない
あの人だけが生きる理由だったのに、私はこれからどうすればいいの?


「マイマスター、ナマエ」

「奏者っ!」

「おかあさんっ!」

「マスター」

「…マスター」

「主殿」

「ナマエ」

「マスター」

「マイロード」

「マスター」

「マスター」

「雑種」


ぽっかりと穴が開いたような私を支えてくれたのはサーヴァントみんなだった
……あの人は私が生きてほしいと願った
だから私はあの人に生かされたこのを最期の時まで燃やし続けよう……あの人がどこかで生きていることを信じて

……なのに


「かは……っ」


口の中に感じた鉄の味と腹部から身体全体に走る激痛
……ああ。私、刺されたんだ


「マスター!!」


私を呼ぶ声が聞こえる
だめだ。私が死んでしまえばここを突破されてしまう


「みんな……最後の命令おねがい、聞いてくれる?」


自分の身体が保たない、助からないのを何故か分かっていた
だけど、ここで私が倒れてしまえばあの子達が…みんなが殺されてしまう!
せめて……みんなが逃げ切れるまで、ここは死守しなければ……!


「立香君とマシュを……みんなを、まもって」


死に抗う気はない
生命には必ず最期があるから、どの経緯がどうであろうと結果的に最期はこの身が滅びて死ぬ
私の場合“殺された”という結果で、この命に終止符を打ってしまっただけだ

だからと言って、相手の思うように簡単に死ぬ訳にはいかない
『兵器』としてこの世に産み落とされたけれど、あの人が『人間』にしてくれた
だから私は、最期まで人間らしく“抵抗”させて貰うよ


「ナマエッ!!!」


段々と閉じていく視界
……ああ、どうやら私はここまでみたい

誰かに抱えられる感覚と、令呪の光を最後に私の意識は黒く染まった。



***



「おめでとう。君には個性が発現しているよ」

「……へ?」


その言葉と同時にはっきりしていく意識
……個性?あれ、私どうしてここに??


「よかったわね、名前!」


抱きついてきた私そっくりの女性は誰?
私、さっき刺されて死んだよね?

あと……なんか私縮んでない!?



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