第4節「神野区の悪夢」


side.オールマイト



「せっかく色々こねくり回してたのに……何そっちから来てくれてんだよ、ラスボス」


此処にいるのは死柄木等ヴィラン連合と爆豪少年のみ。もう一人の拉致被害者、苗字少女の姿がない。

考えられるのは、爆豪少年とは別の場所に拉致されているって所か。彼女の個性は強力であるが、結局は個性。眠らせられているのなら、例のサーヴァントなる人物も動けない。……恐らく、向こう・・・だ。


「……仕方がない、俺達だけじゃない……そりゃあこっちもだ。黒霧、持ってこれるだけもって来い!!」


静まる空間。
……いつまで経っても脳無は現れない。


「すみません死柄木弔……所定の位置にあるハズの脳無が…ない……!」


……脳無はここに現れない。何故って?
八百万少女が付けてくれた発信機の場所へと向かったベストジーニスト達が脳無格納庫を制圧したからさ!!


「やはり君はまだまだ青二才だ、死柄木!」

「あ?」

ヴィラン連合よ、君らは舐めすぎだ、少年の魂を。警察のたゆまぬ捜査を。そして、我々の怒りを!!」


この場にいないということは、苗字少女は脳無格納庫にいる可能性が高い。
大丈夫、向こうにいるヒーロー達が彼女を救う!


「おいたが過ぎたな。ここで終わりだ、死柄木弔!!」

「終わりだと……?ふざけるな……始まったばかりだ」


死柄木は拘束されながらも立ち上がり、こちらを睨み付ける。


「正義だの…平和だの…あやふやなもんでフタされたこの掃き溜めをぶっ壊す……。そのためにオールマイトフタを取り除く。仲間も集まり始めた。ふざけるな……ここからなんだよ……!」


死柄木が黒霧と呼ばれたヴィランの名を呼ぶ。しかし、黒霧は死柄木の言葉に返答することなく気絶した。


「キャアア!!やだぁもお!!見えなかったわ!何!?殺したの!?」

「中を少々いじり気絶させた。死にはしない。忍法千枚通し!……この男は最も厄介、眠っててもらう」


エッジショットが何かをする前に黒霧を気絶させる。どうやら爆豪少年が発見した弱点を参考にしたようだ。


「さっき言ったろ、大人しくしておいた方が身の為だって。……『引石健磁』『迫圧紘』『伊口秀一』『渡我被身子』『分倍河原仁』」


グラントリノが口にしたのは、この短期間で警察が調べだしたこの場にいるヴィランらの本名だ。


「なァ死柄木。聞きてぇんだが……お前さんのボスはどこにいる?」


グラントリノの問いに死柄木は無言を貫く。
手の形をしたマスクと長い前でその表情はほとんど見えず、何を考えているのかも分からない。
こちらに向けて嫌悪を映しだしている狂気に満ちた赤い目でこちらを睨み付けるのみ。


「ふざけるな、こんな……こんなァ……。こんな……あっけなく……。ふざけるな……ふざけるな……」

はいま何処にいる」

「失せろ……消えろ……」


前々からヴィラン連合にはバックの存在……私にとっては倒さねばならない相手……『オール・フォー・ワン』がいるのではないかと考えている。


「死柄木!!」

「お前が!!嫌いだ!!」


私の問いに対して死柄木が叫んだ瞬間、彼の両サイドから脳無が現れたのだ。


「脳無!?何もない所から……!あの黒い液体は何だ!」

「エッジショット!黒霧は!?」

「気絶している!こいつの仕業ではないぞ!」

「どんどん出てくるぞ!!」

「シンリンカムイ!絶対に放すんじゃないぞ!!」

「はっ!」


ヴィラン連合等を拘束しているシンリンカムイに指示を出していた時だった。


「ごふっ!!?っだこれ、身体が……飲まっれ……」

「!!! 爆豪少年!!」


黒い液体に飲まれる爆豪少年に触れた。
瞬間、爆豪少年は姿を消した。


「俊典、こいつぁ……」

「ワープなど…持ってはいなかったハズ……!!対応も…速過ぎる……!」


これは……まさか、この流れを___!



***



side.アクア


「!?なんだ、こいつら……!」

「脳無!!」


突然黒い液体から現れたのは、保須事件以来に見た脳無と呼ばれるヴィランだった。その数は……って、数えている暇はない!!


「塚内!避難区域広げろ!!」

「こいつ、保須で戦った個体より弱いな……」

「数だけ多いザコか!!」


僕とエンデヴァー、その場にいた他のヒーローと警察は脳無討伐を行う。どうやら銃弾は通用しないようで、個性で処理しないと捌ききれない。


「アジトは2か所と出たハズだ。ジーニスト!!そっちは制圧したんじゃないのか!?……ジーニスト!?」


近くで塚内君がジーニスト君を呼ぶ声が聞こえる。
……あの様子は返答がないって事だ。まさか、ジーニスト君達がやられた?
向こうで……脳無格納庫で何があったんだ……!





2024/01/01


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