目の前の人物が何て言っているのか、全く持って理解ができなかった。言葉が入ってきても直ぐに抜けてしまう、そんな状況に陥った。


(雪男と志摩が…え?)


言葉を理解しようと額を押さえて一つ一つ事を整理しようとする。しかし考えれば考える程、思考の糸は絡まるばかり。目に見えて困惑する燐に、志摩は思わず吹き出した。


「ぶ、奥村くん何をそんな考えてんねや」
「だって雪男も志摩も男だろ…?」
「男同士やったら愛し合ったらアカンの?」


志摩の真剣な表情に、燐は思わず肩を跳ね上がらせた。


「で、でも何で志摩と雪男…」
「先にちょっかい掛けたのは俺。先生のあの高嶺のイメージを崩したくなってな?」


 気持ち良さを知った先生、随分とかぁいらしいんよ。
言葉を付け足し、その時の事を思い出しているのか志摩は口元を緩く歪ませた。
燐は、自分と血を分けた弟が自分と仲の良い友人に組み敷かれて、体を許し乱れる姿を想像してしまった。しかし異常な背徳感にかられ、強制的に脳裏に描いたその光景をシャットダウンした。


「でな、俺気づいたんや。双子やのに似てない奥村くんと先生は、カラダは同じなんかなぁって」


誰も触れた事が無いであろう、白い燐の首筋を下から上へと舐め上げる。舌の感触に違和感を覚え、身を捩って志摩下から何とか逃げ出そうと試みるが、腰元に乗っかられてはそう簡単に脱出はできない。
志摩は燐の意味ある動きに気づいたのか、右手の人差し指を立て組み敷く相手の下唇をなぞった。


「志摩っ…!」
「しぃー、少ぉし静にしててな?」


下唇をなぞった指を今度は自らの唇に宛てると、お約束の「お静かに」ポーズを表す。
何か言葉を発しようとしていた燐は、条件反射でうぐ、と言葉を飲み込んだ。


「ん、奥村くんは聞き分けのええ子やね」


そう呟いた志摩の顔は、怖いぐらいの笑みを浮かべていた。





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2011.06.04


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