「俺からする言うてますやん!」
「お前いつも『坊、襲って!』って、積極的なんか違うんかよう分からん事言うてるくせに、何でコレに至っては完全に攻めの姿勢なんや!」
「坊がいつまで経ってもしてくれんから…!」
「だぁっから、こういうのは手順てモンが…」
「手順なんて俺らの間には無いやろ!一緒に風呂まで入った仲やないですか!」


ある日の授業前、教室内で勝呂と志摩は席に座ったまま口論を繰り広げていた。ここ最近、毎日見る風景である。


「んだよ二人とも、うるっせーな…」
「奥村君!ちょっと聞いて欲しいねんけど…」
「そうやって周りを巻き込むなド阿保!」
「すみません、授業を始めたいのですが始めて良いですか?」
「あっ、雪男」
「す、すみません奥村先生!…ええか志摩、次この話ししたらホンマに怒るからな」


いつの間にか教室に入って来た雪男が教壇に立ち、一言割り入ると燐は素直に着席し、勝呂は志摩を適当にあしらって完全に授業モードへと切り替える。一人納得のいかない志摩は眉間に深いシワを作り、明らかに不機嫌モード突入だった。


志摩が腹を立てている理由、それは勝呂との恋路関係の進展についてだった。そう、二人は恋人同士なのだ。付き合って三ヶ月、手を繋ぐ事はあっても、それ以上の事は何も無い。その事に志摩は痺れを切らしているのだ。


(何で、何でなん?もしかして坊、ホンマは俺の事好きと違うんやないか?)


考えれば考える程、その思考はマイナスへなものへと向かっていく。目の前に座ってるはずの勝呂の背中が心なしか、今の志摩には酷く遠くにある様に感じた。





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2011.04.30


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