「奥村せんせー!」
「し、志摩くん?!」


片手にカラーリング剤を入れた袋を持って奥村兄弟の寮部屋に登場。といっても兄弟部屋に居るのは奥村先生だけで奥村君が居ないのはリサーチ済み。だから敢えて今日、押し掛けさせてもらった訳ですよ。

突然の俺の登場に驚く先生の顔。椅子に座ったまま、きょとんとしちゃって…うん可愛ええなぁ。にしても休みの日まで勉強してるなんて、ほんま勉強熱心と言いますか。そんな努力家な先生も俺は好きなわけで…って先生の魅力を語ってる場合と違うて!いや時間があれば沢山語りたいんですけども!


「あの…どうしたんですか?」
「あのですね、今日は先生に頼み事があって来たんですよ」
「はぁ…」


勝手に部屋に上がり込んでドアを締める。あ、別にやましい気持ちは無いから鍵はかけませんよ。
床に適当に座って手にしていた袋の中身を床にぶちまける。
結構な音を立ててお披露目されたソレに奥村先生は興味津々なのか、マジマジと見つめている。


「何ですかそれ」
「カラーリング剤や」
「あぁ、髪を染める…」
「そ、当たり。で、先生に手伝ってもら…」
「嫌ですよ」
「ちょ、即答…」


しかも俺が言葉を言い終わる前に否定ですか。なんていう隙の無い。でも俺は負けませんよ奥村先生。ここで引き下がったら男が廃りますからね。


「お願いしますって奥村先生。先生しか頼める人居てませんのや…」
「勝呂くんや子猫丸くんが居るでしょう」
「坊は今日は図書室で勉強。で先生、子猫さんがこういうのやってくれると思いますか?」
「じゃあ兄さ…」
「ストーップ!よく考えてください。奥村くんにやらせたらどうなるか…」
「……」


多分今、奥村くんにやらせたらどないなるか想像してるに違いない。そして悲惨な状況まで想像したでございましょう!これなら押せば行ける!頑張るんや俺!


「もう俺には先生しか頼る人が居ないんですよ!この通り、お願いします!」
「えっ、ちょ…ちょっと志摩くん!」


額を床に押し付ける程に土下座をする。さぁ奥村先生、生徒にここまでさせて断るなんていう手厳しい事できませんよね?さぁさぁ…観念しいや!


「わ、分かりました。ただ出来上がりの保証はできませんからね」
「さぁっすが奥村先生!いやぁーありがたいです。どうもどうも!」


ここまで来れば話は早い。早速上の服を脱いで…


「志摩くん?!な、何で脱ぐんですか?!」
「え。だって液体が服に着いたら嫌やないですか」
「あ。なるほど…」
「いやーん奥村先生、僕のカラダ見て興奮してはるんですか?え・っ・ち」
「ば、馬鹿な事を言わないで下さい。早く始めますよ!」


奥村くんもからかいがいがあるけど、奥村先生も先生でからかいがいがある。さすが双子。二人揃って弄られ体質って訳やな。


「えっとまず…後ろから染めれば良いんですね…」
「あー別に適当で構いませんよ?」
「そうはいきません。やるからにはちゃんとしたいんです」


眼鏡を光らせてたかが髪染めに真剣な顔をする奥村先生。そんな先生も可愛らしくてほんま俺、どうにかなってしまいそうですわ。


「じゃあ…いきますよ…」
「お願いしまーす」





◇ ◇ ◇





「……」
「……」
「……」
「……」


最初は勝手が分からず何度かカラーリング剤を俺の額やら床にぶちまけとったけど、今は大分慣れたのかスムーズに進められている。好きな人にこうして触ってもらえるのは願ってない幸せ。
幸せなんやけど……。


なんちゅーか奥村先生の細い指が俺の髪に触れて…


「奥村先生に触られてると何やエロい気分になってきますわ」
「ッ…?!」
「痛いっっ!」


「しまった」と思ったけど、時は既に遅し。思った事が口から出てしまった。瞬間、カラーリング用のボトルの先に付いてるノズルで思い切りツムジを攻撃された。
…危うく髪が赤い血で染まってしまうんやないかと思いましたわ。





- end -



同い年なのに先生と生徒の関係が美味しい。
2011.04.17

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